登別市総合計画(基本構想)

公開日 2013年02月25日

1.策定にあたって

(1)市民とともに描く

(遠い未来に思いをはせて)

 海、山、川そして温泉。美しい自然に抱かれた私たちのまち登別は、天与の資源である温泉を活用し全国にも名だたる観光地として、また、室蘭工業圏を支える良好な生活都市として発展してきました。 先人のたゆまぬ努力と創意で発展の基礎が築かれた登別市は、これまでも、時代の大きな流れの中でさまざまな試練を乗り越えて成長を遂げ、現在もなお未来に向かって着実な歩みを続けています。

 登別市には、北海道はもとより日本の発展のためにおおきな期待が寄せられています。
 それは、私たちの国が近代以降目標としてきた欧米諸国へのキャッチアップ(※1)がある程度達成されたと言われる現在、人々の価値観は、モノの豊かさから心の豊かさへ、経済効率優先から暮らしの質の豊かさへと移行し、「ゆとり」や「やさしさ」あるいは「くつろぎ」「癒(いや)し」と言った言葉に代表される心の充足を大切にする時代を迎え、ますます強まっています。

 登別市は、古くから全国の大勢の人々に温泉を通じて憩いややすらぎ、さらに、さまざまな楽しみを提供してきました。いわば日本人の心を育てる役割を果たしてきたといっても過言ではないでしょう。そしていま、登別市は、登別ならではの特徴を持っているが故に、さらに強い期待が寄せられています。無限の可能性を秘めた「温泉」、懐深い山岳と豊かな森林、そこから流れ出す多くの清流、雄大な太平洋。そして、何よりもこのまちを愛し、誇りに思う市民。

 登別市は、内外の期待に応えながら市民一人ひとりが自らの生を全うすることのできる生活都市へ、すべての人にやすらぎと憩いを提供できる世界に開かれたふれあい交流都市へと、羽ばたいていかなければなりません。
 そのために私たちは、可能な限り遠い未来に思いをはせ、あるべきまちの姿を思い描いて、その実現にむかってまい進しようと考えます。人々の汗と思いが積み重なった歴史があり、ここならではの風土があり、愛されいつくしまれている豊かな自然があり、そして、悠久の時の流れの中で、さまざまな個性に彩られた表情豊かな営みが花開き受け継がれていくまち。

 そんなまちをつくり上げていくために、私たちは、たどり着くべき彼方の地点を描いてこの基本構想を定めます。

 (※1)キャッチアップ(追い付くこと・遅れを取り戻すこと)

(市民とともに)

 基本構想の策定にあたっては、何よりもまず、将来のあるべきまちの姿や望ましい市民生活の姿、あるいは今後のまちづくりのありかたを、市民が一体となって考え、論議を重ねる中からつくり上げることを基本としてすすめてきました。

 まちづくりが、行政と市民の手によって着実にすすめられていくためには、市民の思いが直接、基本構想に反映されることが不可欠です。このため市では、構想の素案策定に先立ち市民2,000人を対象としたアンケートを2回実施したほか、各種まちづくりシンポジウムの開催、地区別や各種団体との懇談会をはじめとしてCI幹事会でのまちづくり理念の検討、まちづくり夢委員会21でのあるべきまちの姿の抽出など、可能なかぎり市民の参画の場づくりに努め、市民のまちづくりに対する夢や提言、意見を幅広く聞き取ることに全力をあげてきました。

 そして、これからのまちづくりを市民総意ですすめるにあたって、欠かすことのできない共通の思いを、「まちづくりの視点」として表わすとともに将来に向かうまちづくりのテーマを「まちづくりの理念」として定めました。
 また、私たちは、まちの将来像をつくり上げるにあたって、可能な限り遠い将来を視野に入れ、そこで実現すべき「まちの姿」や「暮らしの姿」を思い描くこととしました。

(2)まちづくりの理念

 まちづくりの理念は、基本構想において実現しようとするこれからのまちづくりにおける統一テーマとして設定するものです。「自然と調和のとれた住空間、躍動する産業、観光客をあたたかく迎え入れるホスピタリティ、個性あふれる文化、豊かな人間性。
市民一人ひとりの価値観とライフスタイルが尊重され、豊かさと充実した生が実現できるまち。ここには世界の各地から人が集い、世界の情報が集まる。
 そして、人が、物が、情報が行き交い、活発な交流が生みだすエネルギーがまちにみなぎり、人々のぬくもりとふれあいを育てる。」を基本理念にキャッチフレーズ“人が輝きまちがときめくふれあい交流都市のぼりべつ”を設定しました。

(3)まちづくりの視点

まちづくりの視点は、登別市の歴史を振り返り、現状を把握し、夢を語り合い、将来のあるべき姿を模索する中から形成された、今後のまちづくりをすすめていくうえでの共通の心構えです。
 昭和43年(1968年)に定められた「登別市民憲章」とともに、これからのまちづくりをすすめるにあたっての指針の一つとして位置付けます。
(将来像 ~ 私たちのまち)

「将来像~私たちのまち」は、市民にとって望ましいまちと生活のありかたであると同時にこの基本構想において実現しようとする登別のまちの姿として表わしました。

(将来像~私たちの暮らし)

「将来像~私たちの暮らし」は、私たちが達成しようとする望ましい市民生活の姿を具体的な登場人物を通して描いたものです。市民の思いや夢をもとに、将来の暮らしの一コマを可能な限りイメージしました。

2.思い描く将来の姿

(1)まちの輪郭

 将来のまちの姿を思い描くうえで、どのようなまちの輪郭となっているかを設定することが必要です。思い描くまちの輪郭として「構想策定の舞台」「想定する人口」「基本的な土地利用の姿」を設定します。

(構想策定の舞台)

 戦後50年を経過した現在、地方を取り巻く環境は、大きく変化し、今後も更なる変動が予測されます。地方分権論議をはじめとして地方中核都市の建設、広域行政の取り組み等我が国の地方制度は、大きな転機を迎えています。このような動きのなかで、広域連合や市町村合併が推進されています。
 今後、登別市が現在の行政面積を保持しながら一つの地方公共団体として存続し得るのか、広域合併が行われ全く異なった自治体となるのかを予測することは、非常に難しい状況にあります。
 しかしながら、この登別の地を舞台として120余年にわたって連綿と受け継がれているまちづくりの営みは、今後も永遠に受け継がれていくでしょう。
 より良い地域づくりを目指して市民総意で取り組むまちづくりは、何よりもまず、行政区域の変動や地方行政制度の変更に関わらず、市民が理想とするまちの姿を思い描き、ともにそれを実現しようとすることが基本であり、その成果として、快適な都市基盤の集積や都市文化がつくりあげられると考えます。
 今後のまちづくりにおいては、多様な価値観が共存し、常に開かれた環境の中で、連帯感あふれる市民の営みが基礎となるものと考えます。本構想においては、将来のあるべき姿を構想する舞台としての行政区域は、現行の区域としました。

(想定する人口)

 登別市の将来人口については、これまでの人口推移や少子化傾向などから見て横ばいもしくは微増が予想されます。遠い将来における人口の推計は、激しく変動する社会情勢の中にあって、極めて不安定な要因が多く、明確に見通すことは非常に困難です。
 また、過去の総合計画における「目標人口」と言った概念は、まちの発展を示す指標として定住人口の増加を目指してきた経緯があり、高度経済成長時代の発展方向を強く意識したものと言えます。
 いま、人々の意識は、モノの豊かさの追求や経済効率優先の視点から心の豊かさへと移行し、いわば「クォリテイ・オブ・ライフ」(※1)を求める時代へと変化し、また、その傾向はますます強まりを見せています。
 このような変化の中にあって、私たちは、将来のまちづくりにおける人口を次の視点から考えることとしました。

  • 人口は、到達目標として数値化するものではなく、私たちが描く将来のまちの規模を表わす一つの目安として考えるべきものであること。
  • 単に定住人口のみを対象とするものではなく、交流人口をも視野に入れたものであること。
  • 経済情勢の変化や社会情勢の変化に柔軟に対応するため常に可変的な要素を加味したものであること。

以上のことを踏まえて、想定する人口は、次のとおりとしました。
想定する人口 ⇒ 67,000人~75,000人
(定住人口57,000人~60,000人)
(交流人口10,000人~15,000人)
(※1)クォリテイ・オブ・ライフ(質の高い生活)

(基本的な土地利用の姿)

 将来のあるべきまちの姿を思い描くうえで、限られた土地をどう活用していくかは重要な課題です。土地は、将来にわたって自然の生態系を保持する貴重な資源であるとともに人々が「住み」「働き」「学び」「憩い」「遊ぶ」ための市民共通の基盤です。
 土地は、土地の持つ社会的、経済的及び文化的要件を十分に考慮し、総合的な見地から検討のうえ、計画的に利用されなければなりません。
 将来の土地利用のあり方を考えるにあたって、私たちは、現在の各種土地利用の現況を考慮しながらも、私たちが目指そうとするまちの姿を土地利用の観点から思い描き、将来のグランドデザイン(※1)として設定することとしました。市民が快適で文化的な生活を送ることのできるステージ(※2)としての「都市」は、さまざまな機能が重層し、調和し、一体となって市民生活を支えるべき空間であることから、登別市としては、次の区分に基づき将来の土地利用のあり方を定めることとします。
(※1)グランドデザイン(総合的な土地利用の姿)
(※2)ステージ(場・舞台)

1.生活創造域

 生活創造域とは、高度で機能的な都市環境が保持されるべき地域で、商工業などさまざまな業務機能や住居機能あるいは文教施設、公園緑地、厚生福祉施設、交通施設等の公共機能等が集中して整備される地域を言います。

  • 生活創造域では、高度に集積された都市機能が集中し、都市の快適さと利便性が市民に等しく享受されます。
  • うるおいとやすらぎに満ちた快適な住空間と高度な産業基盤の整備がすすみ、住空間と商工業などの業務空間が計画的に棲み分けされます。
  • 道路、公園、上下水道あるいは公共施設等の都市施設は、人へのやさしさの観点から整備され、計画的に配置されます。
  • にぎわいと活気に満ちた商業空間は、単に、商業施設の集積地域としてではなく市民の生活文化を支える文化創造空間として、また、新たな交流を生み出す場として土地の高度利用が図られます。

2.特定利用域

 特定利用域とは、都市的機能の調和を図るため自然環境に配慮しながら利用されるべき地域で、健全な都市活動の発展に不可欠な都市施設等が適切な管理のもとに整備される地域を言います。

  • 特定利用域においては、市街地形成が抑制され、良好な自然環境が保持されます。
  • 廃棄物処分場、火葬場、霊園等都市生活を維持するために不可欠な都市施設で生活創造域内における設置が困難な施設が計画的に配置されます。

3.自然利用域

 自然利用域とは、河川、海、山、平地など豊かな自然の恵みの活用を通して多彩な生産、余暇活動が展開される地域で、暮らしと自然との調和を図りながら土地利用がすすめられる地域を言います。

  • 農業に利用する地域においては、農業振興のための優良農地が積極的に確保されるとともに、高次加工品の製造などに必要な用地が確保され、複合的な農業が展開されます。また、グリーンツーリズム(※1)などの農村体験型観光施設が美しい牧場風景と調和しながら整備されます。
  • 林業に利用する地域においては、林業振興などの経済的機能に加え、水源かん養などの公益的機能が高度に発揮されます。また、市民が身近に緑とふれあうことのできる交流空間や自然学習を行う空間としての整備がすすみます。
  • 海洋を利用する地域においては、水産業との調整を図りながら海洋活用の拠点としての海岸利用がすすみ、海洋牧場などつくり育てる漁業の振興が図られるとともに多機能漁港やマリーナ(※2)、海水浴場、マリンレジャー(※3)基地としての空間利用がすすみます。
  • 良好な自然環境を必要とする先端産業などが、自然環境との調和を図りながら適切に配置され林間型の産業業務地としての土地利用がすすみます。

(※1)グリーンツーリズム(緑豊かな農村地域で自然や文化、人々との交流を楽しむ滞在体験型の余暇活動・休暇)
(※2)マリーナ(ヨットなどの小型船舶用の停泊港)
(※3)マリンレジャー(海洋や船を利用した余暇・娯楽)

4.観光レクリエーション利用域

 観光レクリエーション利用域とは、人と自然にやさしくさまざまな表情がいきいきと伝わる観光地づくりを促進するために用いられる地域で、時代とともに変化し増大する観光ニーズに適切に対応でき得る観光施設の集積が図られる地域を言います。

  • 高度に整備された宿泊機能の集積と個性あふれる商店街が適切に配置されるとともに、既存観光施設の再整備や新たな観光施設の建設が促進されます。
  • 国際観光レクリエーション都市にふさわしいコンベンション(※1)機能、レクリエーション機能、宿泊機能が有機的に連携した幅と厚みのある観光地づくりがすすめられます。 
  • 登別観光の中心エリアである登別温泉地区においては、地下活用が図られるなど高度な土地利用がすすみます。
  • 優れた自然の景勝地や天然資源が、次代に受け継がれる観光資源として適切に保全され、秩序ある利用が図られます。

(※1) コンベンション(集会、大会)

5.自然共生域

 自然共生域とは、人々が自然にふれ、親しみ、楽しみを味わうことと自然保全とのの調和を図るため、ワイズユースの考え方を基本として、自然を損なうことのないよう特段の配慮を必要とする地域を言います。

  • 天然自然林、湿原はもとより、水辺植生や野生鳥獣など貴重な自然が積極的に保存されます。
  • 登別の豊かな自然を活用した自然体験、自然学習やエコツーリズム(※1)の拠点として自然との調和を図りつつ利用されます。

(※1) エコツーリズム(自然生態系を重視した観光)

(2)将来像 ~ 私たちのまち

遠い将来、登別のまちはどのようになっているのでしょう。
私たちは、あるべきまちの姿について話し合い、寄せられた夢や期待、さまざまな意見をもとに、理想とするまちの姿をイメージし、基本構想としてまとめました。

  1. やさしさと共生するまち
  2. 自然とともに暮らすまち
  3. 大地に根ざしたたくましい産業が躍動するまち
  4. 調和の中でふるさとを演出するまち
  5. 豊かな個性と人間性を育むまち

(3)将来像 ~ 私たちの暮らし

遠い将来、私たちの暮らしは、どのようになっているのでしょう。
私たちは、実現しようとする理想的な暮らしのひとコマを具体的な登場人物を通してイメージしました。

  1. 温子(あつこ)さんのはつらつ子育て奮戦記
  2. 佐藤さんの介護日記
  3. ボランティアレンジャー緑さんの野外活動ノート
  4. 芳枝さんの街角リポート
  5. 湯太(ゆうた)のわんぱくふれあい日記
  6. 野原さんのビジネスダイアリー

問い合わせ

総務部 企画調整グループ
TEL:0143-85-1122
FAX:0143-85-1108
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