1.温子さんのはつらつ子育て奮戦記

公開日 2013年02月25日

温子(あつこ)さん、32歳。東京生まれ。
「登別国際コンベンションセンター」に勤務しながら7歳、4歳、1歳半の3人の子をもち、育児に仕事に奮戦中。

夫の泉一(せんいち)さん、34歳。登別生まれ。
市の出資する第3セクター(公的機関〔第1セクター〕と民間企業〔第2セクター〕が共同で出資した事業体)でイベントの企画・実行や旅行の取次を行う「登別イベント公社」に勤務。9年前、公社の設立を機に結婚したばかりの温子さんを連れて東京からUターン。

温子さん、泉一さん、そして3人の子供たちの暮らしを「温子さんのはつらつ子 育て奮戦記」として紹介します。

温子さんがはじめて登別に来て驚いたことが一つあります。それは、まちのいたるところで、大人が見知らぬ子供と会話をしたり面倒をみたり、時にはしっかりと注意をしたり、まるで自分の子供に接しているようにしていることです。不思議に思って登別生まれの泉一さんに尋ねたことがありました。

泉一さんによると、登別では、もうずっと以前からそういうことが当たり前になっているとのことです。それは、子供は単に両親や家族だけのものではなく、地域を支える重要な 社会的存在であり、地域の人みんなで子供を守り育てると言う考え方が市民一人ひ とりに共有されているからです。

女性の社会進出や勤務形態の多様化がすすむ中で 登別の市民は長い間かかって、仕事と子育ての両立支援システムの構築や男女共同による子育て意識を育ててきました。

新婚ほやほやの温子さんは、この登別の地に来て、子を産み、育てることに人生の喜びを見出そうと決心したそうです。

(温子さんの日記)

7月10日(金)

私が勤めるコンベンションホールで、国際会議が幕を閉じた。世界各国から訪れた人に、本当に喜んでもらって、スタッフの一員として鼻が高いやら、ほっとするやら、とにかく“無事終わって良かった”と言う気持ち。

1ヶ月ほど前から、この日の準備のために出張や残業でかなり忙しい思いをし、夫や子供たちに少なからず迷惑を掛けてきたかと思うとちょっぴり心の奥が痛む。特に会議の準備で連日残業が続いていた1週間前のことを思い出す。保育所の終了時間が近づいても、仕事が片付きそうになかったときや夫と分担している夕食づくりの当番の日に帰宅できなかったときのあせり。菜摘(なつみ)との20分読書の時間に間に合わなかったときの申し訳なさなど、ちょっとつらいなと思った。

でも、このときこそ夫のありがたみをひしひしと感じたことはない。夫には、本当に感謝している。仕事が忙しいのは、夫も一緒なのだが、私の状況をよく理解してくれて、それとなく助けてくれた。夕食の当番も、自らすすんで交代してくれたし、3人の子供の入浴や洗濯もこの間は、ほとんど夫がしてくれた。

それに、何より助かったのは、我が家の習慣になっているおやすみ前の「おはなしタイム」。うちでは、毎晩、子どもたちの寝る前の30分、私が、いろんな童話の本を参考にしてお話をつくり、子どもたちに聞かせるのが習慣になっているのだが、この一週間は、その時間に間に合わないことが多かった。

夫は、「そのぐらい僕だってできるさ」とピンチヒッターをかってくれた。実際は、おはなしづくりのへたな夫を、子どもたちが励まして何とか「おはなしタイム」を乗り切ったようだ。明日は土曜日。子どもたちと一緒に出かけて、ささやかな罪滅ぼしをしようと思う。

小学校2年生の「菜摘」は、「お湯っこ ふれあい 児童クラブ」に参加する日。

ふれあい児童クラブは、年齢の違う子供同志が放課後の学校を利用してさまざまな地域活動をする集い。ボランティアの青年-と言っても皆んなこのクラブの卒業生-の指導で、今日は、パソコン通信を使った外国の子供たちとの「国際子供井戸端会議」があったそうだ。

何度かやっているので、それぞれの子供たちは、通信フレンドができているとのこと。菜摘は、ニュージーランドの小学3年生の男の子とお互いの国の地図を使って住んでいるところを教え合ったそうだ。

4歳の「登(のぼる)」を、今日は「地域子育て支援センター」に預けた。

地域子育てセンターは、地域の拠点保育所に併設されていて、一時保育や育児相談、グループ交流等を行っているので時々利用している。夫が出勤時に連れて行ってくれたが、もし、夫も都合が悪いときには、センターの子育て支援ボランティアが送迎してくれる。

ここに開設されている「おもちゃ図書館」は、ユニークな(特色のある)施設で全国的にも有名だ。障害を持つ子供たちや幼児のための飛び出す絵本や布の絵本、それに100年前からのおもちゃなどがたくさん収集されている。

登別では50年前から、ボランティアの人が1枚1枚手づくりした布の絵本が5000冊にもなった。

今では、全国の子供たちが利用している。「登」も心身に障害がある子供たちとの交流を深めたり、おもちゃで遊ぶことを通じて感覚機能や運動機能の発達が期待できる。

生後1歳半の「泉」は、コンベンションホール内にある「社内保育所」に預けた。

ここでは、ホールに勤める社員の子供はもとより、会議に参加する人の子供も保育できる仕組みになっている。国際会議が開かれている時は、外国人の子供達の姿も見受けられ、今日は特に大人たちの難しい会議を尻目にチビッコたちがにぎやかに国際交流を深めていた。

夫は、4年前「登」が生まれた時に1年間の育児休暇を取ってくれた。

今は、子育てのために父親が育児休暇を取ることも当たり前のことになっている。育児期間中は、所得保障があるので経済的にも安心。それに企業自体も地域の子育て支援に積極的なので育児休暇を取ることに精神的な負担がなくなっている。

また、ここ登別では、「子育てに父親と母親の役割分担はあっても、役割区分はない」という意識が強く父親と母親が協働して子育てを担うことが普通のこととなっている。4年前「地域子育て支援センター」での「パパの手作り離乳食講座」にエプロン持参でせっせと通う夫の姿を思い出してつい苦笑してしまった。

明日は、久しぶりに夫も休み。それに私たちの10回目の結婚記念日。午前中は、家族みんなで「子育てサロン」に参加する予定。

「子育てサロン」は、子育て経験者が、子育て真っ最中の若い世代に自分たちの経験や知識を伝えることと子育てのお手伝いをしようと結成されたボランティアグループ。私たちにとっては、経験者ならではのきめ細かな子育て支援組織として、また、子育ての悩みや不安を相談できる知恵袋として頼もしい味方だ。

それに、このサロンには、私たちと同じ世代の人が集まるので、情報交換やおしゃべり、時には不用になった子育て用品の交換会など実用もかねて楽しい集いになっている。

子育てサロンの後は、子供たちを囲んでバーベキュー。近くの河畔林の自然テラスへ行く予定。材料は、夫が帰宅途中に買ってきてくれたので、今夜の内に下ごしらえをしておいた。

夜は、夫と二人だけの結婚記念日のお祝い。二人の大好きなジャズコンサートを野外音楽堂で楽しんだあと、登別港にあるピアマーケット(埠頭市場街)内のシーフードレストラン(海産物料理店)で二人きりの食事をする予定。

私たちが出かけている間、菜摘には、「ファミリー・サポート・センター」(※1)の女性チャイルドシッター(子どものお守りと留守番を兼ねる人)を依頼した。来てくれる女性は、童話を勉強しているお姉さんで菜摘の一番好きな人だ。きっと素敵なお話をしてくれることだろう。菜摘も、今から楽しみにしている。

帰りが遅くなるので、今回は「登」と「泉」を「夜間保育センター」で行っているショートステイサービスに預けることとした。

以前は、緊急の病気や止むを得ない場合にだけ活用できたが、しばらく前から子育て中であっても容易に文化活動や元気回復が図れるよう配慮されて活用できるようになった。

登別は本当に安心して子供を産み、健やかに育てることのできるまちだと実感している。

(※1)「ファミリー・サポート・センター」
託児などの育児の援助を受けたい人とそれに協力できる人を会員として組織化し、会員間の相互援助活動を行うセンター。

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