公開日 2025年06月09日
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はじめに
令和7年第1回登別市議会定例会にあたり、市政執行に関する私の基本的な考えを申し上げ、市民の皆様及び市議会議員の皆様のご理解とご協力を賜りますよう、心からお願い申し上げます。
令和7年度は、総合計画第3期基本計画の最終年度であり、現基本計画の総仕上げの年であることはもちろん、現在の取組を次期基本計画に繋げるという意味においても、重要な年になります。
次期基本計画、総合計画第4期基本計画については、令和6年4月以降、市民自治推進委員会を中心に、盛り込むべき施策や考え方などに関し議論が行われてきました。
今後は、これまでの議論で交わされた熱い思いを受け止め、市職員による庁内検討委員会で具体的施策などを検討していくことになりますが、令和7年度の市政執行にあたりましては、令和8年度を初年度とする第4期基本計画の準備の年と捉え、取組を進めることが重要と考えております。
また、令和7年度は、先にお示しした所信表明を具現化する事実上の初年度であり、その市政執行方針は令和7年度のみならず、小笠原市政5期目の方向性を示すものになります。
このため、市政執行方針の策定にあたっては、今後4年間になすべき取組とそのロードマップを見据えながら、本市が直面する重要課題、「人口減少が急速に進む中で、まちの活力をどのように保ち、行政サービスをどのような形で維持していくのか」、この一点に真摯に向き合ったところです。
本市の人口は令和7年1月末で43,559人となり、昭和58年(1983年)のピーク時(59,481人)と比較して約27%減少しました。
さらに国立社会保障・人口問題研究所の人口推計によれば、本市の人口は、5年後の令和12年(2030年)には39,150人、総合計画第4期基本計画の最終年度となる令和17年(2035年)には35,962人となり、現在の約8割まで減少することが予想されます。
そうした中、昨年4月、有識者グループ「人口戦略会議」により、本市もいわゆる「消滅可能性自治体」に挙げられましたが、人口減少が急速に進む中にあって、消滅可能性都市からの脱却を図り、私たちのまち「のぼりべつ」を未来にしっかりとつなぐためには、にぎわいと笑顔に溢れ、安心して暮らせるまちを築くとともに、まちの規模が縮小する状況を直視して持続可能なまちづくりを進めるなど、2つの側面から、人口減少問題に対応することが求められているものと考えております。
このため、先の所信表明でもお示ししたとおり、まずは「こどもファースト」の考え方に基づき、すべての子どもたちと子育てに取り組む人たちを応援するとともに、次代を担う人材の育成やまちの活力を創造する取組を進めてまいります。
さらに、多くの人々に選ばれるまちであるためには、子育て施策だけでなく、性別、年齢、国籍、障がいの有無などに関係なく、すべての市民が笑顔で自分らしく生き、幸せを感じられるまちをつくることが必要であり、福祉や男女共同参画、多文化共生など様々な分野で、これに資する取組を進めなければならないと考えております。
一方、日本全体の人口が減少する中では、本市の人口が減少するのも不可避の状況であり、そうした中、このまちを持続可能なものとするためには、デジタルの力を最大限活用することなどにより利便性を維持しつつも、施設の統廃合をはじめ、行政のダウンサイジングを図るなど、効率的なまちづくりを進めることが引き続き重要であると考えております。
こうした認識の下、令和7年度の市政執行にあたっては、
「こどもファーストを中心に未来につながる『まち』をつくる」
「すべての市民が笑顔で自分らしく生きられる『まち』をつくる」
「人口減少に対応し、持続可能な『まち』をつくる」
の3つを柱に掲げ、このまちを次代につなげるために全力で取り組んでまいります。
1点目「「こどもファースト」を中心に未来につながる『まち』をつくる」について
第一に、このまちを未来につなげるためには、安心して生み育てられる環境を整え、子育てに優しいまちづくりを進めることが重要と考えております。
このため、先に表明した「こどもファースト」に基づき、任期中4年間の取組とそのロードマップを見据え、子育て環境の充実に資する事業に最優先で取り組んでまいります。
保育料については、子育て世帯における家計負担を軽減するため、令和7年4月より、第1子の保育料を平均15%程度引き下げるとともに、多子軽減の対象範囲を拡充します。
なお、一定の所得層以上の第2子に係る保育料の無償化については、段階的な実施に向けて引き続き検討を進めてまいります。
さらに、3歳未満児の待機児童対策として実施している一時預かり事業に係る利用者負担額について、市内保育所等に金額を揃える形で支援措置を講じ、待機児童も含め、保育サービスを利用する子育て世帯全般を対象に家計負担の軽減を図ります。
加えて、就労要件を問わず、誰でも時間単位で保育を利用できるよう、乳児等通園支援事業(こども誰でも通園制度)を本格実施し、こどもの良質な成育環境を整備するとともに、働き方やライフスタイルに関わらない形で子育て世帯を支援してまいります。
また、本市では、「第2期登別市子ども・子育て支援事業計画」に基づき、子どもと子育てへの支援を総合的に推進してきましたが、この計画が令和6年度を以て終了することから、令和6年度はその後継となる計画の策定を進めてまいりました。
後継計画は、従来の子育て支援事業に加え、こどもの貧困の解消及びこども・若者に関する施策を新たに盛り込み、「登別市こども計画」として策定する予定です。
今後は、子育て世代包括支援センターと子ども家庭総合支援拠点の機能を、新組織である「こども家庭センター」に一元化し、妊産婦・子育て世帯・子どもに対して、一体的な相談支援が行える体制を整えた上で、新たに策定する「登別市こども計画」に基づき、保健・医療、福祉のほか、関連する様々な分野にわたり、子ども・子育て支援に係る取組を効果的かつ総合的に展開いたします。
令和7年度においては、これら「こどもファースト」に関連する事業に最優先で取り組むことにより、すべての子どもたちと子育てに取り組む人たちを応援してまいります。
第二に、このまちを未来につなげるためには、子育てに優しいまちづくりを進めることに加え、次代を担う人材を育成することが重要になるものと考えております。
このため、令和7年4月に控える幌別小学校と幌別東小学校の統合に合わせて、幌別小学校隣接地に、放課後児童クラブを併設した新幌別児童館を開設し、子どもたちが安全に楽しく放課後の時間を過ごせる環境を整備します。
富岸児童クラブと富浜児童館を統合する新たな子育て支援施設については、地域の皆さんの意見も伺いながら、保護者のニーズや児童の安全などを考慮し、建設場所や規模について検討するなど、放課後の児童が安全に安心して活動できる拠点の確保を進めてまいります。
保育環境の整備については、市立鷲別保育所について、将来の民営化を目指し、まずはその運営を民間委託することとし、令和8年4月からの開始に向け、市内に事業所を有する学校法人及び社会福祉法人を対象に、公募型プロポーザル方式による事業者選定を行い、さらなる保育環境・保育体制の充実を図ってまいります。
また、日本工学院北海道専門学校の有する専門的知見や人材育成力を未来のまちづくりに活かすため、同校の学生募集に関する取組を支援するほか、市内企業とも連携しながら、卒業生の地元雇用につなげるための取組をともに検討するなど、多様な分野において同校との連携を強化してまいります。
教育分野においては、現在の「登別市教育大綱」は令和7年度までを対象期間としていることから、現在策定中の登別市総合計画第4期基本計画の方向性も踏まえ、教育委員会と協議を重ねながら、市として、教育や文化などに関する総合的な施策をまとめるなど、次期大綱の策定に向け取組を進めてまいります。
学校教育については、子どもたちの学力向上はもとより、教職員の働き方改革につながるよう、デジタル教科書やAI対応の学習アプリの導入など、教育委員会を中心に小中学校が一体となって進めるICTを効果的に活用した取組を重点的に支援してまいります。
小中学校の統廃合については、幌別小学校と幌別東小学校の統合にあたり、児童が安心して楽しい学校生活が送られるよう、地域の協力を得ながら、教育委員会の取組を支援するとともに、今後控える幌別中学校と登別中学校の統合はもとより、その後の学校適正配置に関する取組についても、引き続き支援してまいります。
社会教育については、令和6年度に、教育委員会において、第3次登別市文化振興基本計画及び第3次登別市スポーツ推進基本計画を策定することから、これに基づく取組を支援することはもちろん、登別市文化協会や登別市スポーツ協会、一般財団法人登別市文化・スポーツ振興財団をはじめとした市内の文化・スポーツ関係団体がともに輝きを放ち続けられるよう、それら団体の活動に対し、教育委員会とともに引き続き支援を行ってまいります。
第三に、このまちを未来につなげるためには、本市の強みである観光をさらに強化し、これを軸に域内循環を高め、経済を活性化するとともに、それぞれの地域特性を踏まえて計画的なまちづくりを進め、魅力的な地域を形成することが重要と考えております。
現在、本市では、この先10年を見据え、北海道観光を牽引する存在としてあり続けるための道標とすべく、(仮称)観光振興ビジョンの策定に向け取組を進めているところであり、令和6年度は、ビッグデータ等を活用した観光マーケティングを実施するとともに、登別観光の目指すべき姿を地域全体で描くため、誰もが参加できる勉強会を実施し、参加者とともに登別観光の現状と課題を分析してきました。
令和7年度においては、これまでの分析結果を参考に、登別国際観光コンベンション協会の会員等で組織する策定委員会を設置し、登別観光の目指すべき姿を描くとともに、それを実現するための具体的な取組について検討してまいります。
また、長年の懸案であった登別温泉地区の駐車場不足を解消するため、新たに駐車可能台数150台程度の有料駐車場を整備し、観光客の受入環境の充実を図ります。
さらに、将来の登別観光を牽引する人材を育成するため、日本工学院北海道専門学校との連携により、地域おこし協力隊として「観光まちづくりリーダー」を配置し、同校で観光業界に必要な知識や技術を学ぶことはもちろん、授業外の活動として地域のイベント等への参加を促し、本市観光産業での就業などにつなげてまいります。
加えて、観光業界のみならず、市内企業の多くで外国人人材の登用が進んでおりますが、市内企業では外国人人材の住居の確保に苦慮し、人材確保の妨げになるなどの状況が見られることから、外国人労働者の居住を目的に、市営住宅の一部を市内企業に賃貸する取組を始めるほか、労働力確保に向けた支援について検討いたします。併せて、外国人住民が地域住民との交流を深め、安心して地域で暮らせるよう、多文化共生の取組を引き続き進めてまいります。
一次産業については、水産業や農業に対する支援を継続するとともに、企業版ふるさと納税を活用し、いぶり中央漁業協同組合による藻場再生の取組を支援するほか、同組合が独自に取り組むエゾバフンウニ種苗放流事業を支援するなど、つくり育てる漁業の推進を図ることはもとより、これを食の魅力向上につなげてまいります。
次にまちづくりについてでありますが、魅力的な地域を形成するためには、各地区がその特性を踏まえて取り組むことが不可欠であり、中央地区と登別地区においては、これまで複数年にわたり、地域住民や企業・団体の参加により具体的な協議を進めてまいりました。
このうち中央地区においては、市役所現庁舎用地の利活用を含め、同地区の活性化に関し協議が行われてきたところであり、昨年10月、その成果として、中央地区まちづくり協議会から市に対し提言書が提出されました。
令和7年度においては、提言書の内容も踏まえ、外部コンサルタントの活用により、「市役所現庁舎用地利活用可能性調査」を実施し、同地における民間事業の実現可能性を検証するほか、地域住民や事業者の皆さんとの意見交換の回数を加速させ、中央地区の未来像を共有し、年度後半には、現庁舎用地利活用の方向性も含め、中央地区のまちづくりに関するプランを策定いたします。
登別地区においては、令和7年度に、JR登別駅の跨線橋やエレベーター、新駅舎の竣工が見込まれるほか、駅前広場の整備工事や国道36号の無電柱化工事が開始され、さらに令和8年度からは、道道登別停車場線の歩道拡幅及び無電柱化工事が開始される予定です。
同地区の活性化に関しては、令和7年1月に提出された登別地区観光まちづくり協議会からの要望書の内容も踏まえ、同地区を対象に事業所開設費補助金の上限額を嵩上げするほか、地域おこし協力隊として、同地区で起業に取り組む「登別地区にぎわい創出プレイヤー」を配置することにより、空き店舗などを活用した新規店舗の開設を促し、活性化につなげるとともに、引き続き登別地区観光まちづくり協議会において協議を行い、同地区のにぎわいづくりに向けて、まずは道道登別停車場線沿線の活性化に向けた方向性を検討してまいります。
さらに、両地区に限らず、各地区の活性化に向けた取組を支援するため、地域おこし協力隊として「登別活性化・関係人口コーディネーター」を配置し、従来の関係人口創出に加え、各地区の地域活性化に向けた取組をサポートしてまいります。
なお、地域おこし協力隊については、隊員と受入地域のミスマッチを防ぎ、地域への定着につなげるため、令和7年度より、応募前や採用過程において短期間、地域を体験できるよう、おためし地域おこし協力隊の仕組みを導入します。
また、令和7年度は、神奈川県海老名市との間で姉妹都市の盟約を締結し10年の節目となることから、市民ツアーの相互訪問を行うことはもとより、今後の交流をより深めるための取組を検討するなど、これを今後のまちづくり、地域の活性化に活かすよう取り組んでまいります。
市役所新庁舎については、令和6年度より建築工事に着手したところであり、令和7年度は、引き続き建築工事や電気工事、機械設備工事を着実に進め、躯体工事が終了する段階においては、市民を対象とした新庁舎見学会を開催いたします。
また、令和7年度においては、日本工学院北海道専門学校の学生など若い世代、とりわけ市役所新庁舎近くに立地する同校学生寮の寮生や幌別中学校の生徒などと意見交換を行い、次世代のアイデアをいただきながら、市民の集いの場となることはもちろん、若い世代にとっても自らが輝く場となるよう、新庁舎の活用方法などについて具体的な検討を進めてまいります。
2点目「すべての市民が笑顔で自分らしく生きられる『まち』をつくる」について
第一に、誰もが笑顔で自分らしく生きられる『まち』をつくるためには、年齢や障がいの有無などに関わらず、住み慣れた地域で安心して暮らせる環境を整えることが重要であると考えております。
地域福祉の推進については、地域住民が抱える生活課題の複雑化や複合化、孤独・孤立問題の顕在化などを踏まえ、令和6年度より、重層的支援体制整備事業を開始いたしました。
同事業においては、高齢・障がい・子ども・生活困窮など、各分野における既存の相談支援の仕組みなどを活かしつつ、関係機関とも連携しながら支援にあたっており、令和7年度においても、分野を横断した包括的な支援体制の強化を目指し、同事業の推進に努めてまいります。
高齢者施策については、「第9期登別市高齢者保健福祉計画及び介護保険事業計画」に基づき、高齢者が住み慣れた地域で、その能力に応じて可能な限り自立した日常生活を継続することができるよう引き続き取り組んでまいります。
特に令和7年度においては、認知症の人やその家族の支援ニーズと認知症サポーターをつなげるための仕組み「チームオレンジ」の活動を進めるほか、地域のリハビリテーション専門職等と連携し、住民が自ら介護予防に取り組めるよう学ぶ機会を設けるなど、地域の通いの場の創出と活性化に取り組み、地域包括ケアシステムのさらなる深化・推進を図ってまいります。
また、令和9年度を初年度とする「第10期登別市高齢者保健福祉計画及び介護保険事業計画」の策定に向け、専門的知見を有する外部コンサルタントを活用し、地域データの整理やアンケート調査の実施・分析など準備を進めてまいります。
障がい者施策については、「第4期登別市障がい者支援計画」に基づき、障がいのある人もない人も互いに個性と人格を尊重し、支え合いながら生活できる地域社会を実現するため、引き続き取組を進めてまいります。
特に、障がいのある人やその家族が将来に対して安心感を抱くためには、経済的自立に向けた支援が必要であることはもちろん、障がい等で判断能力が十分でない方も安心して社会生活が送れるよう取組を進めることが重要であることから、新たに法人後見事業を実施する社会福祉法人登別市社会福祉協議会の取組を支援してまいります。
第二に、誰もが笑顔で自分らしく生きられる『まち』をつくるためには、性別や国籍などに関わらず、笑顔で自分らしい生き方を追求できるよう、多様性を基本としたまちづくりを進めることが重要であると考えております。
男女共同参画については、「第3次登別市男女共同参画基本計画」に基づき、ジェンダー平等を基本としたまちづくりに向け、役職等への女性登用の促進や参画拡大に向けた学習環境の充実、本市設置の審議会等における女性委員の拡大、男性の育児休暇取得の促進などに引き続き取り組んでまいります。
さらに、従来の性別に捉われない、すべての方々の人権が尊重され、自分らしい生き方を体現できる社会をつくるため、多様な性に対する理解を促す取組を進めることはもとより、そのための一つの手法として、令和7年4月にパートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度を導入し、市営住宅の入居資格など一部の行政サービスを受けられるように取扱いを変更するとともに、制度活用の手引きを作成して周知を図るなど、同制度が性的マイノリティとその家族の方々の生きづらさの軽減に繋がる制度となるよう取組を進めてまいります。
また、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが変更されたこともあり、本市においても、外国人住民の数が増加し続けており、さらに今後においても、深刻な労働力不足を背景に、市内企業で就業する外国人労働者の数は増加し続けるものと見込まれます。
そうした中にあっては、日本人のみならず、外国の方にとっても暮らしやすいまちづくりを進めることが重要であると考えております。
このため、国際理解講座やデンマーク友好都市交流派遣事業などを通じて、引き続き地域の国際化に取り組むことはもとより、令和6年度に配置した地域おこし協力隊「国際交流プロジェクトマネージャー」を中心に、市内各所で外国人住民と地域住民が参加するサロンを開催し、両者の交流、相互理解の促進を図り、外国人住民と日本人住民がともにコミュニティを形成する共生社会の実現につなげてまいります。
3点目「人口減少に対応し、持続可能な『まち』をつくる」について
第一に、持続可能な『まち』を築くためには、デジタルの力を活用することなどにより利便性を維持しつつも、施設の統廃合をはじめ、行政のダウンサイジングを図るなど、計画的かつ戦略的な行財政運営に取り組むことが重要と考えております。
デジタルトランスフォーメーション、DXについては、令和5年に「デジタルファースト」を表明し、デジタルの力を最大限活用することなどにより、本市が住みやすいまち、魅力あるまちであり続けるため、様々な分野で取組を進めてまいりました。
令和7年度においては、令和6年度に実施した窓口利用体験調査の結果を踏まえ、把握された問題点の分析を進め、デジタル技術の活用により改善に取り組むなど、電子申請やワンストップサービスのさらなる推進を図ってまいります。
行政の効率化については、引き続きビジネスプロセス・リエンジニアリング(BPR)の取組を進め、業務改善を進めてまいります。
特に令和7年度においては、三大都市圏に所在する企業等の社員を「地域活性化起業人」として受け入れ、その企業が保有するノウハウや人脈を活かしながら、公共交通など本市の行政課題解決に向けて連携を深めるほか、クラウド利用を原則に、行政サービスを提供するための取組を進めるなど、DXのさらなる推進に取り組んでまいります。
公共施設等の適正配置については、近年、施設の老朽化や人口分布の変化などを踏まえ、統廃合に向けた取組を積極的に進めてまいりました。
令和7年度においても、公共施設等総合管理計画や個別施設計画に基づき、令和7年4月に、消防本部・消防署と鷲別支署を統合し、新消防庁舎を開庁するほか、小中学校の適正配置の関連では、幌別東小学校を幌別小学校に統合します。
さらに令和7年9月には、のぼりべつ文化交流館を廃止し、郷土資料館に統合するほか、市営住宅については、「登別市営住宅等長寿命化計画」に基づき、柏木団地の用途廃止に向け、入居者の移転を進めてまいります。
また、施設廃止後における土地・建物の利活用については、原則として、貸付や売却などによる民間活用を積極的に検討し、財源確保や地域活性化につなげてまいります。
ふるさと納税のさらなる活用については、15億円を超える年間寄付額を目指し、返礼品となる地場産品の掘り起こしなどに引き続き取り組むほか、日々の活動の中で関係性を持った企業に、本市のまちづくりの方向性をアピールし、企業版ふるさと納税のさらなる拡大を図ってまいります。
さらに令和7年度においては、地場産品の創出や既存商品の生産性向上などに関する取組、市内団体などによる社会貢献や地域活性化などに資する取組について、クラウドファンディングによる寄附金を募り、これを財源に当該取組を支援する仕組みを導入することにより、ふるさと納税の裾野の拡大を図ってまいります。
歳入確保に関連するところでは、令和8年度からの適用を目指し、減免制度のあり方も含め、使用料・手数料の見直しに着手いたします。
また、公共施設などに企業名等を冠した愛称を付与する代わりに当該企業からそれに係る対価を得る、いわゆるネーミングライツについては、コミュニティ施設や公園など、多くの市民が利用する公共施設を中心に本格運用を図ってまいります。
第二に、持続可能な『まち』を築くためには、我々の営みが自然環境に与える負荷を軽減し、環境面においても、将来にわたって住み続けられるまちづくりを進めることが重要と考えております。
本市では、二酸化炭素排出量について、2013年度を基準に2030年度までに48%削減、2050年度までに実質ゼロにすることを目指しております。
二酸化炭素排出量の削減にあたっては、行政はもとより、家庭や事業所における省エネルギー・創エネルギーを推進することにより一定の効果が期待できることから、令和7年度においても、引き続き、国の交付金等を有効に活用しながら、市民、事業者、行政の各主体が協力・連携して、次の取組により着実に進めてまいります。
はじめに、公共施設については、小中学校や郷土資料館、鉄南ふれあいセンターで照明設備のLED化工事を実施するほか、これまで導入を進めてきた葬斎場や市民プールに加えて、若山浄化センターや幌別児童館に太陽光発電設備を設置し、自家消費の取組を進めてまいります。さらに、クリンクルセンター周辺敷地への太陽光発電設備設置に向け、旧し尿処理場の除却に着手いたします。
市民や市内事業者に向けては、新築住宅のゼッチ(ZEH)化や既存住宅の断熱改修、省エネ家電の買い換え、宅配ボックスの購入、太陽光発電設備の設置などに対し、引き続き支援を講じてまいります。
特に省エネ家電の買い換えについては、これまでの実績などを踏まえ、補助上限額に違いを設けつつ、省エネルギー基準を一部緩和するなど、より使いやすい制度となるよう補助基準の見直しを行います。
また、今定例会に上程した「登別市再生可能エネルギー発電事業と地域との調和に関する条例」の運用を通じ、自然環境や景観、生活環境の保全等を図りつつ、脱炭素の取組として、再生可能エネルギーの導入を進めるなど、その両立が図られるよう取り組んでまいります。
そのほか、令和6年度に策定するクリンクルセンター再延命化計画に基づき、施設の安定稼働に資するよう、同センターの再延命化工事を令和7年度から令和10年度まで集中的に実施するほか、プラスチック類ごみの分別収集に関しても、先進事例を参考としつつ、実現性の高い方法を中心に調査研究を行うなど、ごみ減量化に向けた取組を積極的に進めてまいります。
第三に、持続可能な『まち』を築くためには、頻発する自然災害から市民の生命と財産を守る基盤を整えることが重要であり、近年、各地で頻発する予想を上回る規模の自然災害を目の当たりにするにつけ、行政に与えられた最大の責務、市民の生命と財産を守る責任を強く感じているところであります。
災害発生時の対応については、去る2月1日に実施した総合防災訓練で把握された厳冬期の避難に関する課題なども踏まえながら、避難路である市道富士若山路線の拡幅整備を行うほか、高台避難場所となる市役所新庁舎への避難路として、市道千歳8号線の改良工事に着手いたします。
津波発生時の線路横断については、これまでの協議により、要望箇所10箇所のうち2カ所に関し、JR北海道やJR貨物との間で調整が整いましたので、令和7年度中には、明確な運用ルールをJR北海道などにお示ししながら、横断を可能とするための一部工事に着手し、早期実現を図ってまいります。
加えて、残る8箇所についても、JR北海道などから前向きに協議するとの回答を得たことから、引き続き協議・調整を進め、巨大津波発生時における人的被害の減少に向けて取組を進めてまいります。
消防・救急体制については、新消防庁舎の開庁により、訓練施設も大幅に拡充されることから、消防団と連携して様々な災害訓練を実施することなどにより、さらなる消防力の強化を図ってまいります。
また、西胆振圏3消防本部による消防通信指令業務の共同運用については、引き続き消防指令システム及び消防救急デジタル無線の整備を行うなど、令和8年2月の運用開始に向け、着実に準備を進めてまいります。
市役所新庁舎については、令和8年9月の供用開始に向け、着実に整備を進めてまいりますが、これに合わせて、災害発生時に屋外避難場所となる庁舎前広場やマンホールトイレ、そこに至る周辺道路の整備を段階的に進め、災害時対応力の強化につなげてまいります。
むすび
以上、令和7年度の市政執行に関する基本的な方針の一端を申し上げました。
冒頭申し上げたように、令和7年度は、総合計画第3期基本計画の総仕上げの年であることはもちろん、これまでの取組を次期基本計画につなげるという意味でも、重要な年になるものと考えております。
総合計画第4期基本計画については、令和7年8月までに文案の調整を終え、パブリックコメントを経て、市議会に上程することとしておりますが、今回お示しした市政執行方針においても、現在策定中である次期基本計画の方向性の一端をお示しできたものと考えております。
これまで私は、「小さくともキラリと光る成熟都市」を目指し、「市民一人ひとりが主役である協働のまちづくり」に取り組んでまいりました。
わたくしのこの姿勢に変わりはありませんが、合わせて今後においては、人口減少がさらに進む中、私たちのまち「のぼりべつ」を未来に継ぐ道筋を立てることが大きなテーマになるものと考えております。
このため、本年の一文字については、このまちを未来に継ぐ、未来に継承する、未来に向けて継続するという強い決意を込め、『継(つ-ぐ・ケイ)』といたしました。
このまちを未来に継ぐ道筋を一歩ずつ確実に進めるためには、市民や議員の皆様をはじめ、本市に関わる全ての方々の更なるご支援・ご協力が必要となりますので、令和7年度も、より一層のご支援とご協力をお願い申し上げ、私の市政執行方針といたします。
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