市政執行方針(平成30年2月)

公開日 2018年02月22日

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   市政執行方針(平成30年2月)

 

 平成30年第1回登別市議会定例会にあたり、新年度の市政に臨む基本的な考え方と施策の重点について申し上げます。

 私は、これまで市民と行政が積極的に情報を共有し、対話を重ね、互いの力を活かしながら、全力で「協働のまちづくり」に取り組んできたところであります。

 中でも「市役所本庁舎の建て替え検討における基本的な考え方」については、庁内検討委員会において課題の整理を行い、適切な情報共有のもと、市民の皆さんとの対話を重ね、将来に向けた大きな方向性をお示ししたところであります。この将来に向けた議論を円滑に進めることができたのは、協働のまちづくりの理念のもと、市民と行政が距離感を縮め、信頼関係を構築してきた経緯があり、私たち登別市民の根底に協働のまちづくりの意識が根付いている証であるとあらためて認識したところであります。

 平成30年度は、「町民憲章」を昭和43年に制定してから、50周年を迎える記念すべき年となります。50年の間には、登別町が登別市となり、市制施行に伴い、「町民憲章」も「市民憲章」と改称されましたが、憲章に込められたまちづくりへの想いや心構え、理念は不変のものであります。しかしながら、この揺るがない理念に基づくまちづくりへの市民一人ひとりの関わり方、行動のあり方には大きな変化が求められています。

 本格的な人口減少社会が到来した今こそ、まちづくり基本条例の理念のもと、市民憲章の五つの章に掲げた、スポーツやレクリエーション活動などを行い、元気で働くことに喜びをもつ「活気あふれる豊かなまち」、地域による助け合い活動などの取組による「明るく住みよいまち」、環境美化活動などの取組による「緑と空気と太陽のいっぱいあるきれいなまち」、子どもたちの成長を見守る取組による「青少年の健全な夢の育つまち」、国際交流や芸術・文化活動などを通して「平和で文化のかおり高いまち」となるよう一つひとつの取組を大切に実践していくことにより、ふるさと「のぼりべつ」での暮らしに一人ひとりが生きがいを感じ、心が満たされ、誇りをもてる、この時代に即した魅力あふれるまちの実現に向けて、「未来を担う人づくりまちづくり」、「誰もが住みやすい安全安心なまちづくり」、「持続・発展する産業振興のまちづくり」の3点を重点施策とし、議員の皆さん、市民の皆さんのご理解とご協力をいただきながら、市政に取り組んでまいります。

 1点目は、「未来を担う人づくりまちづくり」についてであります。

 人づくりは、地域の持続的な発展に欠かすことのできないまちづくりの基本となるものであります。

 現在、核家族化の進展や共働き家庭の増加、地域とのつながりの希薄化、経済的な不安などを背景とし、子育てを取り巻く環境は厳しさを増しています。

 この現状の中、日常の生活を通して、多くの市民とともにこのふるさとで暮らすことのできる喜びを共有し、まちの将来を真剣に考えることのできる市民が、それぞれの世代に育つ土壌を作っていくことが大切であり、そのためには、私たち一人ひとりが、まちの未来をつくり、高みへと導く、子どもたちの育みへの支えとなることが重要であります。

 これらの重要性を鑑み、子育てに向き合っている市民や、これから子育て期を迎える市民が、安心して子どもを産み、子どもの成長に夢や喜びを感じることができる地域環境の充実に努めるとともに、未来を担う子どもたちが、さまざまな交流や体験などを通し、豊かな人間性や社会性を育み、心身ともに健やかに成長できるよう、家庭をはじめ、学校や地域、行政が適切な役割分担のもと、支え合う環境を構築してまいります。

 はじめに、当市では、鷲別地区の子育て・教育連携の取組において、保育所や小・中学校、児童館、放課後児童クラブ、放課後子ども教室に加え、平成30年4月から新鷲別児童館に新たな子育て支援センターを開設する予定であります。この子育て支援センター開設により、0歳から中学生までの育みを支える機能を集約した環境が整いますので、これまで以上に連携を強化し、安全安心な環境で活動できるよう、子育て支援に取り組んでまいります。

 乳幼児等の医療費の経済支援策については、登別市、室蘭市、伊達市の3市が足並みをそろえ、平成30年8月から非課税世帯に対する小学生の通院及び中学生の通院・入院についても医療費助成制度の対象として拡大し、子育て世帯の負担軽減を図ってまいります。

 乳幼児期の歯科保健対策については、生涯にわたり健康な歯を保つことが、健康づくりの基礎となることから、新たに、市内の民間幼稚園及び認定こども園に在籍する4・5歳児を対象に、フッ化物洗口に係る経費を支援し、子どもたちの健やかな成長を促してまいります。

 次に、2020年東京オリンピック・パラリンピックについては、本大会の開催を契機とし、市民のスポーツに対する意識を高め、多くの子どもたちが夢を育むことができるよう、平成28年度からオリンピック関係者による講演会や実技講習会を開催してきたところであり、今後についても、多くの市民の参加を得ながら、引き続き取り組んでまいります。また、当市は平成29年12月に、デンマーク王国を相手国として東京オリンピック・パラリンピックのホストタウンに登録されたことから、大会に参加する選手等と競技を楽しむ機会を通じてスポーツの素晴らしさを学び、大会参加国関係者との交流を通じて外国の文化を学ぶことにより、平和で豊かな国際交流の重要性への理解を深め、互いの将来に夢や希望をもつことができる子どもたちの育成に努めてまいります。

 次に、人づくりに最も関係する市民憲章制定50周年については、制定日である9月20日に、小・中学校や各団体等のご協力をいただき、市民憲章の全市的な唱和に取り組みます。また、「登別市民憲章推進協議会」を中心とした「登別市民憲章制定50周年記念事業実行委員会」と連携し、平成30年9月22日に「市民憲章制定50周年記念式典」を開催し、市民憲章の理念を長きにわたり実践されてきた方への感謝を表す場とするとともに、多くの市民と、その必要性や重要性について再確認する一日としてまいります。さらに、広報のぼりべつにおいて、市民憲章各章の意義などについて連載を行い、市民憲章の理念のさらなる普及を図ってまいります。また、市民憲章に掲げる市民としての心構えを実践するため、民間幼稚園や町内会、老人クラブなどにおいて実施している、先達がまとめた人生の心得の音読などの取組を、新たに保育所においても実施するとともに、小学校で本格実施される「特別の教科 道徳」をしっかり行うことで、次代を担う子どもたちに、思いやりがあり、自ら進んで人のために尽くすことができる心、善をなそうとする「道徳心」を育んでまいります。 

 2点目は、「誰もが住みやすい安全安心なまちづくり」についてであります。

 安全安心への取組は、市民が健康で安心して暮らすことができ、防災・消防・救急体制の整備が行われ、リスクへ備えるまちづくりが展開されていることで、安心できる暮らしに繋がるものと考えております。

 近年多発している台風や地震などの大規模災害に備え、関係機関との緊密な連携により、各種災害に対する地域防災力の向上を図るとともに、道路整備や建築物の耐震化促進など、都市基盤の整備に取り組み、市民の安全安心な生活の確保に努める必要があります。

 また、安心して暮らし続けるためには、老いを迎えても誰もが地域を離れることなく暮らせる仕組みづくりが必要です。高齢化率の急激な上昇とともに、今後ますます一人暮らしの高齢者世帯や夫婦のみの高齢者世帯、認知症高齢者の増加が予想される中、介護が必要になっても住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、高齢者福祉については、平成30年度から32年度までの「第7期登別市高齢者保健福祉計画及び介護保険事業計画」に基づき、自らが介護予防に取り組み健康寿命を伸ばすなどの「自助」や家族・親戚・地域で暮らしを助け合う「互助」、公的介護保険・医療保険制度等の利用による「共助」、権利擁護や虐待対策、緊急通報機器貸与等による「公助」をバランスよく組み合わせ、「地域包括ケアシステム」の段階的な構築を推進してまいります。

 介護予防・日常生活支援総合事業においては、要支援者等が要介護状態にならないための予防や自立した日常生活を営むことができるよう、従来の訪問・通所サービスに加え、平成30年度から高齢者本人の状況に応じたサービスを展開するとともに、新たに市内の団体や民間事業者等が事業主体となったサービス提供体制を構築してまいります。

 次に、JCHO登別病院については、登別温泉地区から登別地区へ移転することにより、登別地区のみならず、近隣自治体に暮らす人々の健康も守る、地域医療の要としての役割を果たすことを期待しているところであります。今後については、JCHO登別病院の円滑な移転が図られるよう土地の売買に関する事務や周辺の市道の整備を進めるとともに、登別地区へのアクセスを含めた市内外における公共交通の会議体の設立について検討を進めてまいります。

 次に、障がいのある方への取組については、誰もが、お互いに人格や個性を尊重し、支え合いながら生活できる地域社会の実現に向け、平成30年度からスタートする「第2期登別市障がい者支援計画」に基づき、取組を展開することとしており、引き続き「あいサポート運動」の実施や中学生・高校生・専門学校生が就労支援事業所において障がいのある方と交流を図る「夏休みハートフル体験学習」など、障がいについて理解を深める活動も力強く展開してまいります。

 次に、今議会において自殺対策に関する条例案が提案されているところであり、自殺予防対策については、自殺対策基本法の理念に則り、誰もが自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指し、自殺対策における市民一人ひとりが担う役割の正しい知識の周知・啓発を、これまで以上に推進することなどを盛り込んだ「登別市自殺対策計画」の策定について取り組んでまいります。

 次に、共同墓については、お墓に対する考え方も時代とともに変わりつつありますが、時代が変わろうとも、父母や祖父母などの祖先を敬う気持ちは少しも変わりません。そのような中、少子化の進展など、やむを得ない事情等でお墓の継承ができない方のため、将来にわたり安心して焼骨を埋蔵することのできる共同墓について、平成30年度中の供用開始に向けて整備を進めてまいります。

 次に、これまでも私たちは、台風や大雨等による度重なる水害や暴風雪に伴う大規模停電など、さまざまな災害を体験し、市民と行政、関係機関などが力を合わせ、乗り越えてきました。この経験を糧とし、地域の防災力の向上に活かすべく、平成30年度は、災害に立ち向かうための各種計画やマニュアルの策定に着手してまいります。

 まずは、これまでの避難所開設の経験を活かし、避難所に関する市の基本的な考え方や避難が長期にわたった場合の市民による避難所運営組織のあり方、活動内容等をまとめた「避難所運営マニュアル」の平成30年度中の策定を目指すとともに、一般の避難所での生活が困難な高齢の方や障がいのある方などの要配慮者が、安全に避難生活を過ごすことができる「福祉避難所」について、総合福祉センターを指定したところであり、今後、さまざまな状況を想定した福祉避難所の具体的な運用について、関係団体等と連携を深めてまいります。また、大規模災害時に他の自治体や関係機関などからの応援を効率的に受けることができるよう「災害時受援計画」について、平成31年度の早期の策定に向けて取り組んでまいります。

 さらに、平成30年1月23日に発生した草津白根山の噴火は、倶多楽火山を有する当市においても、噴火の危険性をあらためて認識する出来事であることから、「倶多楽火山避難計画」の早期策定に向けて取り組むとともに、周期的に噴火を繰り返している有珠山については、平成12年の噴火の際も職員の派遣や避難者の受け入れなど、広域での災害対策を行ってきた体験をふまえ、噴火に備え、被災自治体からの具体的な要請を待たず、必要不可欠と見込まれる人的支援や物資を被災地に緊急輸送するなどの支援を行う「後方支援計画」の策定に向け、検討を進めてまいります。

 これら各種計画と併せ、「業務継続計画(BCP)」の策定については、大規模な地震・津波災害等が発生した場合において、市は災害応急活動から復旧・復興活動の主体として、重要な役割を担うこととなる一方、災害時であっても、市民生活を支える行政機能を維持する必要があることから、災害時においても適切な業務継続が図られるよう最優先に取り組んでまいります。

 また、平成29年度は北朝鮮の弾道ミサイル発射の際に、操作ミス等により情報伝達トラブルが発生し、訓練の大切さをあらためて実感したところでありますので、平成30年度も引き続き、情報伝達訓練を徹底し、有事の際にも迅速に情報伝達が行える体制づくりに努めてまいります。

 次に、平成29年11月27日、市内において将来ある若者が飲酒運転の被害に遭い、尊い命を奪われるという大変痛ましい交通事故が発生しました。二度と、市内でこのような悲しい出来事が起きないよう、交通事故が発生した11月27日から1年を迎える時期に飲酒運転根絶の決起集会や人と旗の波街頭啓発運動等に取り組んでまいります。さらには、酒類を提供する飲食店に啓発物品を配布するとともに、教育の現場においても飲酒運転の根絶に関する啓発等を実施するなど、市民一人ひとりが「飲酒運転を絶対にしない、させない、許さない」という強い自覚をもち、家庭や職場、さらには地域が一体となって飲酒運転を絶対に許さない社会の実現を目指し、飲酒運転の根絶に努めてまいります。

 次に、当市の都市計画に関する基本的な方針である都市計画マスタープランについては、急速な人口減少や少子高齢化の進展に対応できるまちづくりを進めることができるよう、計画見直し期間内のできるだけ早い時期を目標に見直しを行うとともに、都市計画マスタープランの高度化版である立地適正化計画についても併せて早急に検討してまいります。

 計画の見直しにあたっては、当市特有の街並みをふまえ、各地域における市民の身近な生活拠点を維持しつつ全体的なコンパクト化を図り、将来的な人口動態や災害時に対する安全性を考慮したうえで持続可能なまちを目指すこととし、平成30年度は計画の見直しに向け、現在の都市機能の分析とあわせて、当市の目指すまちづくりや必要とする都市機能など、市民が描くまちの将来像について市民アンケートを実施するとともに、各種団体や次世代を担う若者などとの意見交換の場を設けるなど、広く市民の皆さんとの対話を重ね、将来にわたって住みよいまちとなるよう取り組んでまいります。

 次に、公共施設等の整備については、これまで、子どもたちが使用する教育施設の耐震化などを優先的に取り組んできたところであり、平成30年度は富岸小学校及び幌別西小学校の校舎耐震改修工事と外壁等改修工事を実施するとともに、登別小学校の校舎耐震改修工事の実施設計を行うなど、平成32年度までの期間において、計画的にすべての学校の耐震化を行うこととしております。これらの整備計画によって、多額の費用を要している学校施設の耐震化について一定の目処がつくことから、他の公共施設整備に向けた優先順位の検討を進めたところであり、老朽の度合いや市民生活、経済活動に与える影響などを基本に検討を重ね、災害対応拠点となる市役所本庁舎の建て替えを優先順位第1位、観光の玄関口であるJR登別駅のバリアフリー化の一つとしてエレベーター設置を優先順位第2位、日常生活や災害時等において要となる施設である消防本部・本署の建て替えを優先順位第3位としたところであります。

 市役所本庁舎の建て替えについては、地区懇談会等の場において多くの市民の方からいただいたご意見をはじめ、各団体等からのご意見を参考としたところであり、現庁舎については老朽化が進み、耐震化が困難なことから、庁内において横断的に検討を行い、庁舎を新築することといたしました。その建設地については、地方自治法における庁舎の位置の考え方をふまえ、多くの市民が訪れ、公共施設として求められるアクセスの良さや利便性などから、市としては、当市のほぼ中央に位置する幌別エリアが最も適しているものと決断しました。今後につきましては、この幌別エリア内において持続可能な集約型都市構造の考えを加味しながら、平成30年3月末を目途に新庁舎建設の基本的な考え方とその視点などをまとめた基本構想(案)をお示しし、これをもとに多くの市民の皆さんと議論を深めてまいります。

 JR登別駅のエレベーター設置については、観光に訪れる方の多くが大きな旅行バッグを携行されており、また、平成32年には白老町に民族共生象徴空間が開設されるなど、当市を訪れる外国人観光客等のさらなる増加が期待されることから、JR登別駅の利便性を高めるとともに、階段を上り下りすることが困難な高齢の方や障がいのある方などにも配慮し、市民はもちろん、観光客が安全に安心して利用できるよう、長年懸案事項であったエレベーターの設置の実現に向けて、北海道旅客鉄道株式会社と引き続き協議を進めてまいります。平成30年度は、エレベーター設置にあたり、必要となる地質調査等の実施について、北海道旅客鉄道株式会社と応分の負担を定め、取り組んでまいります。

 消防本部・本署の建て替えについては、まずは、平成32年度に登別支署と登別温泉支署を統合する新支署を供用開始する予定であります。このような新たな地域の機能をふまえ、効率的に、また、市民の安全安心な生活を守ることができるよう消防本部・本署の適切な配置場所について検討する必要があり、建て替えにあたっては、平成26年7月に定めた「将来の消防力のあり方」に基づき、幌別地区と鷲別地区のそれぞれの課題解決とともに、消防体制の充実強化を図るため、両地区を一体的に検討してまいります。

 次に、市営住宅については、空き住戸が増加するなど、市営住宅に対するニーズが減少していることから、都市構造を見据えた居住環境の確保を図るため、今後の市営住宅の需要の見通しや適正配置などをふまえ、目標管理戸数や事業手法等を定める「登別市営住宅等長寿命化計画」を改定するにあたっての基本的な考え方を整理するとともに、平成31年度の改定に向け、基礎調査に着手してまいります。

 なお、千代の台団地の建て替えについては、第一期工事として1号棟56戸のうち32戸の建設工事を、平成30年7月を目途に着手してまいります。

 次に、空き家対策については、平成28年度に策定した「登別市空家等対策計画」を推進するとともに、空き家の利活用を促進するため、新たに空き家を購入し、自己の居住用として改修する場合における補助制度を創設するなど、総合的かつ計画的な空き家対策を推進してまいります。特に、子育て費用が増大する世帯の経済的負担の軽減を図るため、18歳未満の子ども1人につき補助金額を加算することにより、子育て世帯の定住促進にも繋げてまいります。

 次に、水道及び下水道事業については、市民生活や企業の経済活動を支えるライフラインとして重要な役割を担っており、持続的なサービス提供のためには施設及び経営の健全性等を維持しなければなりません。しかし、今後は人口減少に伴う事業収入の減少傾向は避けられない状況であることから、中長期的な視点から計画的に運営する必要があります。

 水道事業については、平成29年度に策定した「登別市水道事業経営戦略」において計画期間内に財源不足が生じる見込みとなることから、「登別市水道事業運営審議会」に対し、料金改定に関する諮問を行い経営健全化に向け取り組んでまいります。

 また、昭和41年に供用を開始した登別温泉浄水場は経年劣化が進み、耐震性も確保されていないことから、施設の全面更新に着手してまいります。

 簡易水道事業については、「登別市簡易水道事業経営戦略」の平成30年度中の策定を目指し、料金改定の必要性についても検討するとともに、平成31年度からの公営企業会計の移行に向けた準備を進めてまいります。

 下水道事業については、平成28年度に「登別市下水道事業経営戦略」を策定したところであり、平成30年1月には、約20年振りとなる下水道使用料の改定を行いました。これにより、当面の間は、資金不足の発生を回避できる予定でありますので、引き続き、経営戦略に基づき、計画的な経営を進めてまいります。

 また、下水道施設の整備については、集中豪雨に対する浸水被害の軽減を図るため、常盤町地区の雨水排水管の整備を行うとともに、常盤町地区の汚水管や若山浄化センターの施設・設備の改築更新を引き続き進めてまいります。

 3点目は「持続・発展する産業振興のまちづくり」についてであります。

 まちの活力に繋がる源の一つは、元気な産業活動であります。

 人口減少社会において、雇用を創出し、活力を維持していくためには、持続・発展し続けることのできる地場産業が重要となります。当市の基幹産業であり、年間400万人の観光客が訪れる観光産業を軸とし、他産業との連携の促進を図ることで、全市的なまちのにぎわいに繋がるものと認識しております。

 観光産業については、平成29年10月、MICEの積極的な誘致をはじめ、地域資源や人材、施設を活用した全市観光のさらなる推進を深めるため、登別観光協会が登別国際観光コンベンション協会へと名称変更し、12月には、観光まちづくりの推進と全市観光の実現に向け、登別商工会議所と連携・協力する協定を締結するなど、民間においても全市観光に向けた動きが加速しているところであります。当市としましても、登別国際観光コンベンション協会や登別商工会議所等と連携し、温泉だけではない登別の魅力を、市内各関係団体の協力をいただきながら積極的にPRするとともに、全市観光を展開するにあたり、地域全体の観光マネジメントを一体的に行うDMOの設立に向けた民間団体の取組に対して、協力してまいります。

 誘客については、西胆振圏域の訪日外国人宿泊客延数のさらなる増加を図るために、北海道登別洞爺広域観光圏協議会等の広域連携などによる国外の誘客活動に取り組み、平成30年度は、中国北京市や台湾台中市などへ、誘客増強のためのトップセールスを実施してまいります。

 そして、北海道内で、訪日外国人宿泊客延数上位3位を占める札幌市、登別市、函館市の3市がそれぞれの強みを活かし、3市を結ぶルートを「北海道ドラマティックロード」と名付け、観光客の流動性を高める広域連携事業を行ってきましたが、今後さらなる誘客を図り、中長期的な活動を行うため、「(仮称)北海道ドラマティックロード推進協議会」を平成30年4月に設立し、観光客の記憶に残る旅行商品造成などを促進するとともに、国外へのトップセールスを新たに検討してまいります。

 さらに、平成29年10月に北海道を中心に西胆振3市3町と白老町で構成する「西胆振日本遺産推進会議」が発足し、アイヌ語地名と景勝地などアイヌ民族の文化をテーマにした西胆振の魅力をとりまとめてまいりました。

 日本遺産の認定は、西胆振のさらなる魅力を発信し、アジアに限らず、欧米なども視野に入れながら、これまで以上に観光客を呼び込み、地域活性化に繋げるとともに、将来的には民族共生象徴空間と連動した地域の魅力を発信できるものでありますので、日本遺産認定に向けた西胆振を構成する自治体として、取り組んでまいります。

 また、観光地経営の視点に立ったDMOについては、現在、登別商工会議所が主体となり、成功事例の情報収集や活動内容の分析を行うとともに、登別にふさわしい観光まちづくりや経営手法、組織、収益事業などの方向性等の調査研究が行われていることから、DMO設立に向けて協力してまいります。

 次に、美しい景観は、市民の心を豊かにするとともに、多くの観光客の心にも訴えかけ、地域の価値の向上に繋がる効果が期待されるものと考えます。国は地域と行政が連携しながら、景観や自然環境に配慮し、地域の魅力を道で繋ぎながら観光やまちづくり、景観づくりの活動を行う「シーニックバイウェイ」の取組を推進しており、当市を含む胆振・日高圏域は自然豊かで魅力ある景観を有することから、その魅力を観光に結び付けられるよう、沿道美化の取組などを通し、引き続き沿道の自治体や関係団体等と協議を進めてまいります。

 また、近年の旅行目的の多様化により、レンタカーなどを使用した外国からの個人旅行客が増加していることから、安全な観光旅行を楽しんでいただけるよう、中国語や韓国語、英語などの多言語の交通安全旗とハンドプレートを掲げた、人と旗の波街頭啓発運動による注意喚起を行うなど、命の大切さについて、広域連携の場で、その必要性と重要性を声を大にして訴えてまいります。

 さらに、観光地としての受入環境整備の一つとして、登別温泉地区にある旧国立登別病院の跡地については、北海道財務局との協議が整いましたので、今議会に取得のための提案をしているところであります。取得後については、駐車場等の観光に資する活用に努め、観光客等の利便性の向上を図ってまいります。

 次に、地域経済の持続的な発展を図るためには、多くの中小企業等の事業活動や創業への支援、商店街の活性化によるにぎわいの創出、産業や業種を超えた連携の推進など、多様な産業を担う中小企業の活動の活性化がますます重要となっています。

 地域経済の振興に関する取組については、「登別市中小企業地域経済振興協議会」から提出された提言書をもとに、「地域経済振興に係る総合的ビジョン」の策定を進め、事業者等、市民、市がそれぞれの役割を果たし、連携しながら地域経済の振興に取り組んでまいります。

 商店街の活性化については、まずは、当市の観光の玄関口であるJR登別駅前周辺を新たなモデルケースとしながら、地域のにぎわいの創出を図るうえで不足している業種や機能について、市内の商店会等と協議するとともに、空き店舗活用事業補助金や新たに事業所開設費補助金の上限を引き上げるなどの創業支援により、事業者等の積極的な誘致に取り組んでまいります。

 また、中小企業の経営上の課題である「人材の不足」に対し、生産性の向上や経営力の強化を図るため、新たに登別商工会議所と連携して人材育成に必要な経費の一部を補助し、中小企業の安定した経営を支援してまいります。

 次に、生活困窮者の多くが地域から孤立し、SOSを発することが難しいと考えられることから、新たに専任の職員を配置し、経済的な困窮などの課題を抱えた市民の早期把握に努めてまいります。また、生活困窮者の多くが自尊感情や自己有用感を喪失し、次のステップに向かうことができなくなっている状況にあることをふまえ、就労に必要な訓練を日常生活、社会生活段階から支援する「就労準備支援事業」に取り組むとともに、自ら家計を管理できるように必要な支援を行う「家計相談支援事業」などの新たな支援に取り組んでまいります。これらの事業を通し、就労に向けた準備が一定程度整った方などについては、市が実施する「若年者等キャリアカウンセリング事業」との連携やハローワーク等の協力を得ながら、就労に繋がるよう、庁内外における横断的連携のもと、自立支援の体制強化を図ってまいります。

 平成30年度の市政執行に関する基本的な方針の一端を申し上げましたが、2年後に迎える市制施行50周年という大きな節目に向けて、市民や関係団体、企業等の多くの方が市民実行委員会として携わることにより、少しでもまちづくりに興味や関心をもつ「きっかけ」に繋げていくことがなによりも大切であります。

 まちづくりは、ふるさとのためにボランティアとして携わる多くの市民の、まちづくりへの熱意によって支えられており、年齢や職種などを超えたさまざまな世代が繋がることによって、より良いまちに発展していくものと期待をしているところであります。

 私も市長となる前の市制施行30周年には、一市民として市制施行30周年・西暦2000年市民実行委員会に携わり、毎日夜遅くまで、実行委員会のメンバーとともに企画案を練り、事業実施に向けて取り組んだところであり、この30周年を「きっかけ」に、今日まで活躍をされている市民が多くいらっしゃいます。さらに、40周年で関わった市民の皆さんの多くは、現在、まちづくりのリーダー的存在として活躍されております。

 2020年の市制施行50周年記念事業は、まちづくりの先達と未来のまちづくりを担う子どもたち、民間と行政、地域と地域、団体と団体など、これまで培われた繋がりをあらためて確認するとともに、まちを想う人と人との繋がりを一層強固なものとするチャンスとなりますので、今後、多くの市民の皆さんとともに記念事業等の取組を通じて、将来にわたって市民が活躍できるまちづくりの動きの創出に努めてまいります。

 10年後、20年後、さらにもっと先も市民が夢を描くことができる、魅力あふれるまちでいることができるよう、将来あるべきまちの姿を見据え、市民の皆さん、議員の皆さんとともに、人と人との繋がりを、そしてまちづくりへの想いを「形」にすることができるよう、取り組んでまいりますので、皆さんのご理解とご協力をお願い申し上げまして、私の市政執行方針といたします。

 

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TEL:0143-85-1122
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