平成15年度末 バランスシート(連結)

公開日 2013年03月18日

登別市バランスシート連結

平成15年度登別市連結バランスシート

平成15年度登別市連結バランスシート(市民一人あたり)

三 登別市のバランスシート(連結)

1.連結の意味

今までは普通会計のバランスシートについて説明しました。普通会計とは個々の地方自治体ごとに各会計の範囲が異なっていることなどから、財政比較や統一的な掌握が困難なため、地方財政統計上統一的なルールに則して用いられる会計区分のことをいい、登別市では一般会計と学校給食事業特別会計がこれにあたります。
ところが、市は普通会計の他に下水道事業や国民健康保険事業などの特別会計を設けて様々な事業を行っています。また、水道事業会計は公営企業法が適用され、他会計とは会計処理が異なるため、資産形成の面において登別市の全体的な財政状況を把握することが難しい状況にあります。
さらに、かつて三つ子の赤字といわれた「国民健康保険特別会計の累積赤字」「登別振興公社」「登別土地開発公社」のうち、まだ解消されていない「登別市土地開発公社」が所有する土地は、長く保有しているうちに利子が膨張し、帳簿上の価格が実勢価格を大幅に上回っている現状にあり、いわゆる「含み損」を抱えていますが、この「含み損」が果たしてどのくらいあるのかも、これまでの財政分析の手法では明らかにされていませんでした。

いま、市町村合併の議論が盛んに行われていますが、その議論の前提として財政状況を示す資料の提供は行政としての義務であると認識しております。

このようなことから、今回、平成15年度末時点における連結バランスシートを作成しましたので、これを基に登別市全体の大まかなストック状況について説明いたします。

2.作成上の基本的前提及び調整

平成13年3月に、総務省から、「普通会計バランスシート」の考え方を発展させた「各地方公共団体全体のバランスシート」の作成手法が示されたことから、概ねこれを基準に作成しています。
(1)対象範囲
普通会計、公営企業会計(水道事業会計)、国民健康保険特別会計、老人保健特別会計、介護保険特別会計、簡易水道事業特別会計、公共下水道事業特別会計、登別市土地開発公社(市が100%出資しています。)
(2)作成の基準日   平成16年3月31日
(3)基礎数値
普通会計と同様、昭和44年度以降の決算統計データ
ただし、公営企業会計(水道事業会計)及び登別市土地開発公社については、既存のバランスシートを用いました。
(4)調整
市の登別市土地開発公社への出資金は重複しますので、調整しています。
また、水道事業会計の借入資本金は市債であることから、資本の部から負債の部へ移行しています。
さらに、各特別会計の退職給与引当金について、将来にわたって人事異動があることから、一括して調整欄に計上しました。普通会計については、退職手当積立金を計上しているので、このような調整は行っていません。
(5)登別市土地開発公社の資産について
土地開発公社は、地域の秩序ある整備を図るため、必要な公有地となるべき土地を市に代わって先行取得することを主たる業務としています。
ただ、先行取得した土地を市が直ちに買い取る財政状況になかったため、長期間保有せざるを得ず、その間、経過利息が膨らみ、帳簿上の価格(簿価)が高くなってきています。市は将来、高い簿価で買い取らざるを得ず、実質的に市の債務となっていることから、連結バランスシートに記載しました。
公社が保有している土地について、路線価を基礎とし近傍地価格を考慮した固定資産税における土地評価の手法を用いて土地価格を評価し、簿価との差額を調べてみました。土地の形状などは考慮していないため、多少の誤差はあると思いますが、概ね実態を反映していると考えています。
それによると、簿価は29億9千万円ありますが、評価額は11億2千万円となりました。固定資産税の評価額は時価の7割を目途としていることから、0.7で割り戻した15億9千万円が計算上の時価ということになります。市は、時価が15億9千万円しかない土地を29億9千万円で買い取らなければならず、その差額14億円がいわゆる『含み損』ということになりますので、資産から減額しています。
長引く不況のなか、市には直ちに土地を買い取る余力はありませんが、毎年の利息相当分の土地を購入することなどによって、これ以上、土地開発公社の債務が膨らまないようにしています。
また、土地開発公社も独自に買い手を探して売却する努力を行っています。

登別市土地開発公社が保有する土地の価格

帳簿上の価格

(簿価)

29.9億円

含み損

14億円

かっこ資産から減額

計算上の時価

15.9億円

固定資産税の手法を用いた場合の評価額

(時価の7割)

11.2億円

3.連結バランスシートの内容

(1)全体

平成15年度末の連結バランスシートから、登別市の資産は、現金や公共資産を合わせて1,047億円で、そのうち951億円が公共資産となっています。
一方負債は630億円で、そのうち市債・借入金は574億円です。

資産と負債の差額が正味財産で417億円です。

(単位:億円)

資産の部 1,047 負債の部 630
  公共資産 951   市債 574
投資等 31 退職給与引当金等 56
流動資産 65 正味財産の部 417

(2)資産の部

公共資産の62.4%は普通会計で形成したものです。他に下水道会計が26.3%、水道事業会計が8.1%となっており、この3つの会計で100%近くを占めています。下水道会計が比較的大きいのは、本格的に事業を開始したのが新しいので未償却部分が大きく、しかも、まだ投資額が大きいことに起因しています。
また、国民健康保険特別会計や介護保険特別会計などは、医療や介護などサービスの提供を主な業務としているので、資産形成はありません。
投資等では、介護給付準備基金を介護保険特別会計に計上しました。
流動資産では、国民健康保険に保険税の未収金を計上し、普通会計と同じように不納欠損見込額により減額しています。また、登別市土地開発公社の含み損について、減額しています。

資産の割合

(3)負債の部

市債の残高について、水道事業会計で57億円、下水道事業会計で175億円計上しました。このうち、水道事業会計の57億円は、公営企業会計のバランスシートでは借入資本として資本の部に計上されているものです。
登別市土地開発公社の借入金を30億円計上しています。
調整の欄で、各特別会計の退職給与引当金を一括計上しています。

負債の割合

市債・借入金のうち、市債は574億円です。このうち地方交付税として将来、市に交付される分は、238億円あります。

(4)正味財産の部

下水道事業会計が101億円、水道事業会計が28億円、国保会計が13億円となっています。
土地開発公社の正味財産は13億円のマイナスとなり、登別市全体の正味財産を引き下げています。

四 今後の取組み

今回は、登別市の普通会計バランスシートと連結バランスシートを作成し、各種の分析を行ってきました。
バランスシートによって、税金の投入により整備された資産の構成や将来返済しなければならない負債との関係、返済を要しない正味財産との比率などのストックに関する情報の把握を行うことができます。
地方公共団体の財政状況を分析する指標としては、これまでにも、財政構造の弾力性を判断するための経常収支比率、公債費による財政負担の度合いを判断するための公債費負担比率や財政力を示す財政力指数等、たくさんのものがあります。
これらの指標にバランスシートの分析を加えることにより、今までとは違った視点から財政分析が可能になると考えられます。
地方公共団体のバランスシート導入の研究は、まだ始まったばかりで、各地方公共団体の取組み状況も千差万別です。
今後とも、よりわかりやすく、実態を反映した財政情報の提供に努めて行かなければならないと考えています。

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