公開日 2025年03月11日
令和5年6月2日、戸籍法(昭和22年法律第224号)や住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)の一部改正を含む「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律」(令和5年法律第48号。以下「改正法」という)が成立し、同月9日に公布されました。
これまで、氏名の振り仮名は、戸籍や住民票等の記載事項としていませんでしたが、この改正法の施行(施行日は令和7年5月26日)により、順次、氏名の振り仮名を新たに戸籍等に記載し、公証することとなりました。
1 戸籍等に氏名の振り仮名が記載されるまでの流れ
(1)記載する予定の振り仮名の通知(令和7年5月26日以降、送付の予定)
本籍地市区町村から、住民票の情報を参考に、戸籍に記載する予定の振り仮名に関する通知書を、原則として戸籍の筆頭者宛に送付します。
※住民登録のある市区町村からの通知ではありません。
同じ戸籍でも住所が異なる場合は、それぞれに送付します。
この通知を受けましたら、必ず氏名の振り仮名を確認してください。
(ア)通知書に記載された氏名の振り仮名が正しい場合
届出をする必要はありません。
令和8年5月26日以降に、通知書に記載された振り仮名が戸籍に記載されます。
なお、早期に戸籍への記載を希望される方は、振り仮名の届出をすることができます。
(イ)通知書に記載された氏名の振り仮名が現に使用している読み方と異なる場合
改正法の施行日(令和7年5月26日)後1年以内に限り、氏名の振り仮名の届出が必要です。
この届出が受理されれば、届け出た氏名の振り仮名が戸籍に記載されます。
※令和7年5月26日以降、早期に氏名の振り仮名の記載を希望する場合は、通知書が届く前でも氏名の振り仮名の届をすることができます。
※戸籍に記載する氏名の振り仮名について
戸籍に記載する氏名の振り仮名については、「氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているもの」に限られるとされていますが、既に戸籍に記載されている方がこうした一般の読み方以外の読み方を現に使用している場合には、これを尊重し、氏名の振り仮名に代えてその一般の読み方以外の読み方を示す文字を届け出ることができることとし、一定の場合に氏名の振り仮名とみなす扱いとすることとしており、一般の読み方以外の氏の読み方又は名の読み方を示す文字を届け出る場合には、その読み方が通用していることを証明する書面を提出しなければなりません。
この一般の読み方以外の氏の読み方又は名の読み方が通用していることを証明する書面としては、旅券(パスポート)や預金通帳等が想定されます。
(2) 氏名の振り仮名の届出(令和7年5月26日~令和8年5月25日)
(ア)氏名の振り仮名の届の種類について
氏名の振り仮名の届出には、①「氏の振り仮名の届」と②「名の振り仮名の届」の2種類あります。
それぞれの届書の様式は次のとおりです。
(イ)届出人について
届出ができる方は、①「氏の振り仮名の届」と②「名の振り仮名の届」で、それぞれ異なります。
①「氏の振り仮名の届」の届出人について
原則として戸籍の筆頭者が単独で届け出ることとなります。
戸籍の筆頭者が除籍されている場合は、その配偶者となります。
戸籍の筆頭者及び配偶者がともに除籍されている場合は、その戸籍に在籍している子となります。
②「名の振り仮名の届」の届出人について
既に戸籍に記載されている方がそれぞれ届出人となります。
※15歳未満の方の届出は、親権者等の法定代理人が行います。
(ウ)届出の方法について
①「氏の振り仮名の届」、②「名の振り仮名の届」の届出方法はともに、届出人の本籍地又は所在地(住所地など)の市区町村に対し、次の方法により行います。
・窓口で届出
・郵送で届出
・マイナンバーカードを利用してマイナポータルから届出(電子証明書が登載しているマイナンバーカードをお持ちの方のみ)
※マイナポータルからの届出は、市区町村の窓口へ赴く必要がありませんので、大変便利です。
(3) 戸籍等に氏名の振り仮名が記載
(ア)令和8年5月25日までに氏名の振り仮名の届を届け出た方(令和7年5月26日から順次)
氏名の振り仮名の届により、順次、戸籍に氏名の振り仮名が記載されます。
※(1-1)の方は、戸籍に記載された氏名の振り仮名を変更する場合は、家庭裁判所の許可が必要となります。
(イ)令和8年5月25日までに氏名の振り仮名の届を届け出なかった方(令和8年5月26日以降)
本籍地の市区町村長が、管轄法務局長等の許可を得て通知書に記載された振り仮名を戸籍に記載します。
※(1-2)の方は、戸籍に記載された氏名の振り仮名を変更する場合は、一度に限り、家庭裁判所の許可を得ずに変更することができます。
(ウ)住民票への記載
戸籍に氏名の振り仮名が記載されると、住民票にも順次、記載されることとなります。
(エ)マイナンバーカードへの記載
令和8年6月頃(予定)から、希望者は市区町村役場等において、お持ちのマイナンバーカードにも氏名の振り仮名が記載できるようになるほか、新規に発行されるマイナンバーカードにも記載される予定です。
(4) その他
改正法の施行日(令和7年5月26日)後、出生届や帰化届により、初めて戸籍に記載される方は、それらの届出に併せて、氏名の振り仮名の届出をすることとなります。
2 戸籍に氏名の振り仮名が記載されるメリット
(1) 行政のデジタル化の推進のための基盤整備
行政機関等が保有する氏名の情報の多くは漢字で表記されていますが、同じ漢字でも様々な字体があるほか、外字が使用されている場合には、データベース化の作業が複雑で、特定の者の検索に時間を要していたところ、氏名の振り仮名が戸籍上一意に特定されることで、データベース上の検索等の処理が容易になり、誤りを防ぐことができるようになります。
(2) 本人確認資料としての利用
氏名の振り仮名が戸籍に記載されることにより、住民票の写しやマイナンバーカードにも記載できるようになり、本人確認資料として用いることができるようになるほか、正確に氏名を呼称することが可能な場面が多くなります。
(3) 各種規制の潜脱防止
金融機関等において氏名の振り仮名が本人確認のために利用されている場合があるところ、複数の振り仮名を使用して別人を装い、各種規制を潜脱しようとするケースがありましたが、氏名の振り仮名が戸籍上一意に特定されることで、このような規制の潜脱行為を防止することができます。
3 戸籍の振り仮名制度を悪用した詐欺にご注意ください
新設された戸籍の振り仮名制度を悪用し、法務省や市区町村の職員を騙った者等による詐欺の発生が懸念されますのでご注意ください。
・届出に法務省や市区町村への手数料はかかりません
・届出しなくても罰則はありません
不審に思われる場合は、お住まいの市区町村担当窓口や、最寄りの警察署又は警察相談専用電話(「#9110」番)、消費者ホットライン(「188(いやや!)」番)にお電話ください。
○法務省、警察庁、消費者庁からの注意喚起リーフレット
戸籍の振り仮名の届出に関連する詐欺に御注意ください[PDF:964KB]
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詳しい内容は、次のホームページをご覧ください。
法務省ホームページ「戸籍にフリガナが記載されます」
https://www.moj.go.jp/MINJI/furigana/index.html
総務省ホームページ「住民票等への氏名の振り仮名の記載について」
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/daityo/shimei_hurigana.html
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