第2章 自然とともに暮らすまち

  第3節 安全で安心して暮らせるまちをつくる


 [基本的な考え方]

 (防 災)

  道内でも有数の豪雨地帯にある当市は、がけ崩れや河川の氾濫、低地帯地区での浸水等を未然に

 防止するため、治山事業、河川改修、都市排水施設整備等を積極的に推進するなど、総合的な防災

 対策をすすめてきました。

  近年は、地震や津波など予測のつかない災害の多発や、市街地の拡大・都市施設の高度化、危険

 物の増加などにより被害が多様化、複雑化する傾向にあります。

  総合的な都市防災機能の整備を促進し、安全で安心して暮らせるまちづくりを推進します。



 (消防、救急体制)

  当市は、市街地が分散して形成されているのに加えて中高層ホテルのある登別温泉を有することから、迅速、的確な消防・救急活動の展開が求められています。効果的な消防組織や施設、救急救助体制等の整備充実を図るとともに、火災を未然に防ぐための予防活動の強化や消防団の活性化など消防体制の充実を図ります。



 (犯罪のないまちづくり)

  犯罪のない明るいまちづくりを推進するため、これまでも警察や関係機関との連携のもと地域の秩序、治安の維持に努めるとともに登別市暴力追放協議会などと共同して官民一体の暴力追放運動を展開してきました。

  国際観光レクリエーション都市を目指す当市にとって、暴力や犯罪のない安全なまちづくりは、最も重要な課題であり、また、新たな市街地の進展など、地域事情の変化に対応した治安維持体制の整備が課題となっています。

  市民や訪れる観光客の生命と財産を守り、安心できる地域社会を築くため引き続き治安維持体制の整備と防犯意識の高揚に努めます。



 (交通安全)

  当市における交通事故発生件数は、年々増加する傾向にあり、特に若者と女性ドライバーによる事故、交通弱者といわれる高齢者や子どもの歩行中や自転車の事故が目立っています。

  安全で快適な市民生活を確保するため、交通安全施設の整備を促進するとともに正しい交通マナーやルールを身につける交通安全教育の強化を図るなど、市民と行政が一体となった総合的な交通安全対策を推進します。

  また、高齢者や障害者などに意を用いた交通安全対策を充実します。



 (消費生活)

  商品やサービスの多様化が進む中で、消費者を取り巻く環境は、ますます複雑化し多様化する傾向にあります。これに伴って、消費者をめぐるトラブルも年々増加し、とりわけ、高齢者や若年者がトラブルに巻き込まれるケースが増加するとともに、クレジット等の乱用による多重債務など寄せられる消費生活相談も多様化の傾向にあります。

  このため消費者へのきめ細かな啓発活動や相談活動、消費生活情報の提供に努めるとともに消費者団体の活動を支援します。



 (市民相談)

  暮らしが豊かになるにつれ、多種多様な困りごとや心配ごと、苦情が増える傾向にあることから、軽易な相談から法律の専門家による相談など幅広い相談体制を整備します。



 [施策の基本方向]

 1.災害に強いまちづくり

  大雨や地震などの自然災害はもとより建物の高層化や密集化、産業活動などによる都市型災害の被害を防止するため、防災関係機関、地域住民などが連携した総合的な防災体制を整備し、防災活動の充実に努めます。
 
  また、「自らの生命と財産は自らが守る」意識を高めるとともに、自主防災組織の育成を図ります。


 2.消防、救急体制の整備

  効果的な消防・救急体制を確立するため、消防庁舎の適正配置に努めるとともに、複雑多様化する災害や救急・救助業務などに対応するため車両等の整備や組織体制の強化、人材の育成など総合的な消防力の強化を図ります。


 3.犯罪のないまちづくり

  暴力追放や防犯の意識の啓発と高揚を図るため、警察、関係団体、町内会などとの協力体制の強化に努めます。また、治安体制の拡充強化を図るため、警察署の設置と市街地の発展に見合った交番の設置を図ります。


 4.交通安全対策の充実

  交通安全意識の高揚を図るため、交通安全教育や全市的な交通安全運動の推進に努めるとともに、子どもや障害者、高齢者などの交通弱者に配慮した交通安全施設の整備や冬季間の除融雪など交通環境の整備に努めます。


 5.安全な消費生活の確保

  安全な消費生活の確保と消費者擁護の増進を図るため消費者被害の予防対策や消費生活相談の充実を図るとともに消費生活情報の提供に努めます。

  また、消費者の自主的活動を促進するため消費者団体の活動を支援します。


 6.心配ごと、困りごと相談の充実

  生活上の心配ごとや困りごと、苦情などの相談を必要に応じて各種の専門家から受けられるよう相談業務の充実を図ります。



 [主要施策]

 1.災害に強いまちづくり

 ◆防災体制の確立

 ・ 地域防災計画にもとづき、災害時に即応できる体制の整備に努めます。

 ・ 近代的な設備が整った防災センターの整備に努めます。

 ・ 自治体間の広域的な相互支援体制を整備します。

 ・ 市職員による地区防災担当員を配備し、災害時における迅速な初動体制づくりに努めます。

 ・ 災害時の医療活動体制の整備をすすめます。

 ・ 地震被害想定を作成し、その活用に努めます。

 ・ 上下水道、電気、ガスなどライフライン施設の復旧応援体制の整備をすすめます。

 ・ 災害時に地下水を活用できる体制を整備するとともに、可搬式給水タンクの増設をすすめます。

 ・ より安全な避難所の確保と避難所表示標識の整備をすすめます。

 ・ 防災ボランティアが活動しやすい環境の整備に努めます。

 ・ 町内会を中心とした自主防災組織を育成するとともに地域における防災活動リーダーを育成します。

 ・ 防災協力員の活動強化を図ります。

 ・ 高齢者、障害者等の災害弱者の救援体制の整備に努めます。

 ・ 事業所等の自衛防災組織との連携を図ります。


 ◆防災思想の普及

 ・ 防災総合訓練等を通じて、市民の防災意識の高揚と災害時に備えた連携強化を図ります。

 ・ 防災マップの作成や避難の手引作成等災害に備えるための情報の充実と提供に努めます。


 ◆防災情報体制の強化

 ・ 衛星通信を活用した総合情報ネットワークを整備します。

 ・ 降雨情報等の高性能観測装置の設置をすすめます。

 ・ 同報系無線システム等地域防災通信システムの整備に努めます。

 ・ 災害時の情報伝達、広報媒体として放送機関との連携強化を図ります。


 ◆治山・治水対策の推進

 ・ ヤンケシ川、西富岸川、ポンヤンケシ川等の河川改修を促進します。

 ・ 市街地の排水施設の整備に努めます。

 ・ 砂防ダムの設置を図るとともに、土砂流出の抑制効果の高い樹林地の拡大に努めます。

 ・ 海岸保全の整備を図ります。

 ・ がけ崩れや地すべり危険箇所における治山事業を促進します。


 2.消防、救急体制の整備

 ◆消防庁舎の建設整備

 ・ 消防、防火、防災活動の拠点として防災センター機能を備えた本部本署庁舎を建設します。

 ・ 効果的な出動体制を確立するため支署、出張所等の統合を含め施設の適正配置に努めるとともに老朽化した施設の計画的な整備に取り組みます。

 ・ 広域消防・救急体制に対応出来得るヘリポートの設置をすすめます。

 
 ◆消防機動力の強化

 ・ はしご付消防ポンプ自動車など近代的消防資機材の整備に努めます。

 ・ 情報通信機器を活用した消防緊急通信指令施設など消防機動力の高度化に努めます。


 ◆消防水利の整備

 ・ 水利不足地域の解消を図るため計画的に消火栓や防火水槽を設置するとともに耐震の大型防火水槽の整備に努めます。


 ◆火災予防活動の強化

 ・ 市民の防火、防災意識の高揚を図るため広報活動を強化するとともに地域、事業所等の火災予防訓練の推進を図ります。

 ・ 防火対象物や危険物施設の予防査察を強化し、火災などの未然防止に努めます。

 ・ 地域住民と事業所の連携による防火管理組織を整備します。

 ・ 女性も含め新団員の確保等消防団の強化に努めます。


 ◆救急、救助体制の整備

 ・ 高規格救急車や救助工作車、救急・救助資機材の整備に努めます。

 ・ 救命率の向上を図るため救急救命士の養成、配置に努めます。

 ・ 市民に対する応急手当講習会を開催するなど、正しい知識と技術の普及をすすめます。


 3.犯罪のないまちづくり

 ◆治安体制の強化

 ・ 治安体制の拡充強化を図るため、警察署の設置を図るとともに、市街地発展の著しい新生、富岸地区に交番の配置を図ります。


 ◆防犯組織の育成と防犯意識の啓発

 ・ 防犯意識の高揚を図るため、防犯組織の強化と活動の助長を図ります。

 ・ 学校、家庭、地域が一体となった非行防止指導体制の強化に努めます。


 ◆防犯施設の整備

 ・ 防犯灯、街路灯の整備を促進します。

 ・ 交番、防犯連絡所などの適正配置やパトロールの強化を図ります。

 ・ 空家等犯罪を誘発するおそれのある環境の浄化に努めます。


 4.交通安全対策の充実

 ◆交通安全施設の整備

 ・ 信号機、歩道、道路照明灯、防護柵、道路標識など交通安全施設の整備を計画的に推進します。

 ・ 歩道の段差切り下げや、点字ブロック、盲人用信号機等の敷設など交通弱者のための施設整備を推進します。

 ・ 除融雪の強化など冬季間の交通安全対策をすすめます。

 ・ 安全な自転車通行を確保するため自転車歩行者道の整備を促進するとともに駐輪場の整備に努めます。


 ◆交通安全意識の育成

 ・ 幼児や児童、生徒への交通安全指導と高齢運転者を含めた高齢者に対する交通安全意識の啓発に努めます。

 ・ 安全運転技術講習会の実施など安全運転技能の向上に努めるとともに、運転者に対する交通安全意識の啓発をすすめます。


 5.安全な消費生活の確保
 
 ・ 真に豊かで安全な消費生活の推進を図るため、学校教育や社会教育との連携を図りながら、消費生活に関する知識の普及、啓発を行うとともに、講演会や研修会の開催など消費者教育を充実します。

 ・ 消費者被害や苦情に対応するため、消費生活相談の充実を図ります。

 ・ 主要生活物資等の価格、量目、表示等、消費生活全般にわたる情報の収集や提供に努めます。

 ・ 消費者の自主的活動を助長するため消費者協会や生活改善実践グループ等消費者団体の活動を支援します。


 6.心配ごと、困りごと相談の充実

 ・ 法律の専門家による適切な法律相談を実施するとともに市民の心配ごと、困りごとにきめ細かく対応でき得る相談の充実に努めます。