登別市環境基本計画(平成14年4月)第1章基本的な考え方

公開日 2013年03月24日

1 策定の趣旨

登別市は、北海道の中央南西部に位置し、東部から北部にかけては600~1000メートル級の山々が連なり、そこには、豊かな森林と清らかな河川に育まれた多くの野生生物が生息・生育しています。南東部は雄大な太平洋に面し、多くの海洋生物や海産物に恵まれた自然豊かなまちです。
また、多くの泉質と地獄谷を始めとする優れた景勝地を有する日本を代表する温泉郷でもあります。
この豊かな環境を将来の世代に引き継いでいくことは私達の大切な使命です。
しかし、私達の周りでは、ごみや空き缶の投げ捨て、犬のふんの放置などの身近な問題から廃家電等の不法投棄や廃棄物の野焼きなどの不法行為まで、様々な問題が見受けられます。
道内や国内に目を転じると、自動車による交通騒音や大気汚染、閉鎖性水系における水質の悪化、ダイオキシン類の発生や最終処分場の不足、不法処理などの廃棄物問題、野生生物種の減少の危機などの問題が顕在化してきています。
さらに、私達の日常生活や通常の産業活動に伴って排出される二酸化炭素などの温室効果ガスによる地球温暖化、フロンガスによるオゾン層の破壊、酸性雨による森林の破壊などの地球規模での環境問題も明らかになってきています。
これらの環境問題を解決するためには、法的な規制に止まらずこれまでの大量生産、大量消費、大量廃棄の社会経済構造や個人の生活様式を見直していく必要があります。
このような認識の下、市民各層の意見や市民検討会議の議論などを踏まえ、自然と共生した良好な環境の保全と快適な環境の維持、創造についての基本理念や社会の各主体の責務を明かにするとともに、環境保全施策の基本となる事項を定めた登別市環境基本条例(以下、「条例」といいます。)を平成12年3月に策定しました。
登別市環境基本計画(以下、「基本計画」といいます。)は、条例の規定に基づき、条例に掲げられた基本理念や施策の基本方針にのっとり、登別市における環境の保全等に関する施策を総合的、計画的に推進するために策定するものです。

用語解説

【ダイオキシン類】
PCDD(ポリ塩化ジベンゾ‐パラ‐ジオキシン)、PCDF(ポリ塩化ジベンゾフラン)及びコプラナーPCB(コプラナーポリ塩化ビフェニール)の総称。化学物質の製造過程や廃棄物の燃焼の際に発生するといわれており、動物実験では、発ガン性や催奇形性などが報告されている。

【温室効果ガス】
二酸化炭素やメタンなどの気体は、太陽からの日射エネルギーにより温められた地表面から放射されるエネルギーを吸収、放射することにより地球を暖める効果がある。このように地球を暖める効果のある気体を温室効果ガスという。

【フロンガス】
炭素と水素の化合物である炭化水素(メタンやエタンの仲間)の水素をフッ素又はフッ素と塩素で1個以上置き換えた物質の通称で、私達の周りでは冷蔵庫やエアコンの冷媒などとして使われている。

【オゾン層の破壊】
オゾン層がフロンガスなどにより破壊されている現象のこと。オゾン層とは、成層圏(地上から15~40キロメートルにある大気)に存在し、太陽光に含まれる有害な紫外線の大部分を吸収し、地球上の生物を守っている。オゾン層が破壊されると地上に到達する紫外線の量が増大し、その結果、作物の成長阻害や皮膚ガンなどが増加することが懸念されている。

【酸性雨】
工場や自動車から大気中に排出される硫黄酸化物、窒素酸化物などを取り込んで強い酸性を示すようになった雨のこと。酸性霧や酸性雪を含むこともある。森林破壊や湖の酸性化による生物の死滅、大理石などでできた歴史的建造物等の侵食などの被害が発生している。

2 目指す姿

この基本計画は、登別市に集うすべての人々が参加する自主的、積極的な活動により、人と自然が共生できる健全で豊かな環境を保全するとともに、環境への負荷が少ない持続的発展が可能な循環型社会の構築を目指します。

3 長期的な目標

人と自然が共生できる環境を保全するとともに持続的発展が可能な循環型社会を構築するための長期的な目標を次のとおりとします。
(1) 人と自然とが共生する豊かな環境の実現
(2) 心の豊かさが感じられる生活空間の実現
(3) 環境への負荷の少ない循環型社会の実現
(4) 公害のない健康で安全な社会の実現

4 長期的な目標を達成するための基本的施策

長期的な目標を達成するための基本的な施策の方向を次のとおりとします。
(1) 多様な自然環境を保全するための対策の推進
(2) 身近な自然とのふれあいづくりの推進
(3) 快適な環境づくりの推進
(4) 廃棄物の減量化・リサイクルと適正処理の推進
(5) 省エネルギー及びエネルギーの有効利用の推進
(6) 地球環境保全対策の推進
(7) 良好な大気、水質環境等を確保するための対策の推進
(8) 環境学習の推進

5 計画の目標年次と計画期間

この基本計画の長期的な目標は、登別市総合計画の基本構想と同様に21世紀半ばを想定して設定しました。
また、長期的な目標を達成するための中期的な目標とその目標を達成するための具体的な施策を展開する計画期間を10年間とし、第1期の中期計画期間を平成14年度から平成23年度までの10年間とします。

6 基本計画の性格、位置付け

この基本計画は、条例第10条の規定に基づき、環境の保全等に関する中長期的な目標と基本的な施策の方向を定めることにより、環境の保全等に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために策定するものです。
また、この基本計画は、登別市総合計画を推進するための環境に関する個別計画としての性格を有するものです。

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