平成18年度予算編成方針(平成17年10月)

公開日 2013年03月19日

登別市訓令第26号

庁中一般


平成18年度予算編成方針を次のとおり定める。


平成17年10月24日

登別市長 上野  晃

平成18年度予算編成方針

 我が国経済は、企業部門の改善に広がりがみられ、個人消費も持ち直すなど、ようやく景気が足踏みを続ける「踊り場的状況」から脱却し、着実な回復を続けています。しかし、景気の回復には地域間にばらつきがあり、北海道経済をみると、雇用動向は改善に広がりがみられ、個人消費にも持ち直しの動きが見られるものの、その動きは鈍く、生産活動は足踏み状態あるいは緩やかな上昇にとどまっている状況です。

 政府は、平成18年度予算について、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005」を踏まえ、平成17年度に続き、従来の歳出改革路線を堅持・強化するとしており、従来にも増して、歳出全般にわたる徹底した見直しを行い歳出の抑制と所管を越えた予算配分の重点化・効率化を実施するとともに、これにより、基礎的財政収支の改善を図り、国債発行額についても極力抑制しようとしています。

 「国と地方」の改革については、国庫補助負担金の廃止・縮減、税源移譲、地方交付税の見直しの「三位一体の改革」がさらに進められることとされ、本年7月には、地方六団体が取りまとめた国庫補助負担金の改革案「国庫補助負担金等に関する改革案(2)」が政府に提出され、現在、検討が進められています。しかし、国と地方との意見が対立している部分が数多く残されるなど、依然として先行き不透明な状況であり、3兆円規模の税源の移譲に結びつく改革、地方の裁量度を高め自主性を大幅に拡大する改革の実施に向け、今後もその動向には十分に注視していく必要があります。

 地方財政については、政府は、地方公共団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税、地方税などの一般財源の総額を確保するとしていますが、国の歳出の見直しと歩調を合わせて給与関係経費、投資的経費、一般行政経費などの地方歳出全般について徹底した見直しを行い、地方財政計画の歳出規模を引き続き抑制し、財源不足の縮小に努めるとともに、地方団体の自助努力を促していくことを進め、地方交付税総額を抑制するとしています。

 本市は、近年、厳しい経済環境の中にありながらも、下水道事業を推し進めながら、クリンクルセンター、葬斎場、新市民プールの建設など、立ち遅れていた生活環境基盤の整備や施設の老朽化への対応、環境への負荷低減への取り組みに努めてきました。
 平成16年度は、下水道事業を除いてほぼ大型建設事業を終えたことから、「財政健全化の初年度」と位置付け、民間委託や組織機構の見直し・定員管理の適正化など行政改革を推進するとともに、職員給与の独自削減などを行い、健全財政に取り組んできました。その結果、一般会計決算では、実質収支で5億4,205万円の黒字とすることができました。
しかし、歳入を見ると市税がこの5年間で約4億6,000万円も減少し、地方交付税と臨時財政対策債の発行可能額は減少傾向にあります。また、市の平成16年度の財政指標を見ると、他の多くの地方公共団体と同様に、経常収支比率、公債費比率、起債制限比率が上昇するなど、財政状況の悪化を示しています。特に起債制限比率は警戒ラインといわれる14パーセント台に達しました。
 平成17年度では、厳しい財政状況からやむなく財政調整基金5億4,000万円を取り崩して予算を編成しましたが、今後も、葬斎場と新市民プール建設事業にかかる起債の元金償還が始まり、公債費比率はさらに上昇するほか、団塊の世代といわれる年齢層の市職員が退職期を迎え、退職手当の増加が見込まれるなど、一層、厳しい財政運営を強いられるものと予想されます。

 これら市の財政状況を踏まえ、国による改革の動向に注視しつつ、平成18年度の予算編成にあたっては、経常的経費の徹底した節減合理化とすべての事業について、その必要性・効果等について事業の見直し点検を行い、最少の経費で必要な行政サービスが提供できるよう、次により編成するものとします。

1.事務事業の見直しと効率化
社会経済情勢の変化や市民ニーズを反映した施策展開を図るため、事務事業の見直しを踏まえ、行政の果たすべき役割やその費用対効果を改めて点検し、簡素でより効率的な行財政運営の確保に努める。
2.行政改革の予算への反映
補助金の見直しや指定管理者制度の導入など「新・登別市行政改革実施計画」のうち平成18年度の実施項目について、的確に予算に反映するものとする。
3.予算の重点的配分
   限られた財源のなか、次の2つの事業への予算の重点的配分を行う。
  そのため、経常的経費、臨時的経費を問わず、一定の要求枠を設ける。
   また、新規・拡充事業に伴う一般財源の増についても、既存の事務事業の見直しによる財源の組み替え等によって対処することを基本とする。
1.厳しい財政状況を踏まえ、当面、新しい施設を建設する余裕はなくなる。このため、既存施設の利用可能期間の延長を図るためのメンテナンスに重点を移し、既存施設整備について重点的に予算付けを行うこととする。
2.「次世代育成支援対策行動計画」に基づき、「少子化対策」関連分について重点的に予算付けを行うこととする。
4.総合予算制度の徹底化
総合的な年間予算の編成を行うので、年度途中の予算補正は、災害等緊急やむを得ないもの及び編成の段階で特に協議し、財源の留保を行っているもののほかは行わない。
5.財源の確保
現下の厳しい財政状況に鑑み、歳入全般にわたって財源確保に最大限の努力を払って編成する。
1.市税にあっては、課税客体、課税標準等を的確に把握するとともに
 特に徴収率の向上を図り、全道都市平均並みの徴収率の確保に努める。
 ※平成18年度個人住民税の定率減税は、減税幅が半分に縮減される。
2.一般会計から繰り入れを行っている特別会計も含め、分担金及び負担金、使用料及び手数料については、住民負担の公平確保の観点と受益者負担の原則に立脚し、減免規定の見直しを含めた額の適正化を積極的に図るとともに、未収金の解消に努める。
3.現在国において、国庫補助負担金、地方交付税、税源移譲を含む税源配分のあり方を三位一体で検討しているところであるが、国から地方への税源移譲が未だ実現していない現段階にあっては、国庫補助負担金や地方交付税は、本市にとって欠かせない重要な財源である。そのため、国・道補助負担金については、事業の緊急性を勘案のうえ高率補助を、市債については、地方交付税措置のあるもの、条件のより良いものを優先的にとりあげる。


 予算要求基準

 平成18年度予算の要求にあたっては、以上の方針を踏まえ、次の基準に基づき行うこと。

1.経常的経費については、法定扶助費等の義務的経費を除き、ゼロベース積上げ方式とし、事業費総額について、前年度予算の範囲内とする。
2.臨時的経費がある場合は、経常的経費の減額で一般財源を確保して要求することとする。この場合、グループ所管予算で対応できない場合は、同部他グループ所管予算で対応する内容で要求するものとする。
3.既存施設整備分については、基本情報(建設年度、主な補修歴、利用者数の状況)及び整備必要箇所の現状等を付して要求することとする。
4.少子化対策分については、既存施設の整備も含める。


付記

国と地方の関係における予算編成上の留意点

 平成18年度の予算編成にあたっては、その指針となるべき国の予算、地方財政計画等が未確定の段階にあるため現行制度を前提としますが、国・道の予算編成等の動向に細心の注意を払い、的確な把握に努めることとし、制度の創設、改正等について国・道の方針が明らかになったものについては可能な限り当初予算の編成に取り入れることとします。
 国の平成18年度予算の概算要求基準及び地方財政の8月仮試算【概算要求時】によれば、本市の平成18年度予算編成上の留意点として次のようなものが考えられます。
1.総務省の概算要求では地方交付税は、2.7%減(出口ベース)

2.地方債は、3.6%減 → 地方単独事業の抑制
  うち臨時財政対策債及び減税補てん債の合計額は4.8%減
→ 一般財源の減少
3.公共投資は、3%減
4.国庫補助負担金縮減、税源移譲、地方交付税見直しの「三位一体の改革」において、3兆円規模の税源移譲を目指し、国庫補助負担金改革を実施。
  → 各部グループ所管の国庫補助負担金の動向について注視されたい。
参考

◎決算の状況                         (普通会計、千円)

区分 歳入総額

歳出総額

差引額

アーイ ウ

翌年度へ繰越すべき財源エ 実質収支

ウーエ オ

年度収支

H15 24,757,535 24,282,523 475,012 10,357 A 464,655 ▲325,599
H16 21,668,211 21,103,455 564,756 22,710 B 542,046 77,391

※H16年度単年度収支額=B-A

※平成17年度当初予算においては、財政調整基金積立金繰入金540,000千円を計上している。

区分 11年度 12年度 13年度 14年度 15年度 16年度
経常収支比率 84.6% 86.8% 87.9% 88.3% 88.7% 91.9%
公債費比率 16.2% 16.6% 17.2% 18.7% 19.4% 20.0%
起債制限比率 12.5% 12.4% 12.7% 13.2% 13.7% 14.0%
財政力指数 0.492 0.475 0.466 0.465 0.467 0.467

※経常収支比率は,減税補てん債・臨時財政対策債を経常一般財源とした場合の数値

※財政力指数は3か年平均の数値

・経常収支比率 
 経常一般財源のうち経常経費に充当された割合を示したもので、財政構造の弾力性を測定する比率として使われます。

・経常一般財源 
 毎年度連続して経常的に収入される財源のうち、その使途が特定されず自由に使用し得る収入のことをいいます。
 当市においては、市税と地方交付税で経常一般財源の9割近くを占めています。

・公債費比率  
公債費の一般財源に占める割合をいいます。この比率が10%を超さないことが望ましいとされています。

・起債制限比率
 地方債の許可制限に係る指標で、20%を超えると一般単独事業債などの借入れに制限を受けることになります。

・財政力指数
 地方交付税の基準財政収入額を基準財政需要額で除して得た数値をいいます。財政力指数は、1に近くあるいは1を超える(普通交付税の不交付団体)ほど財源に余裕があるものとされています。

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