市長あいさつ(平成17年2月15日委嘱状交付にて)

公開日 2013年03月15日

 皆様には本日 登別市総合計画の第2期基本計画の策定にあたりまして、検討委員会の委員をご承認いただきまして、誠にありがとうございます。

 思いおこしますと、平成6年に登別市の新しい「総合計画」をつくろうと市民会議を立ち上げました。

当時は、一番多い時で150人を超える位の市民の皆さんの参加をいただき、いくつものグループに分かれて、ワーキングをやっていただいた記憶がございます。

 そして、6つの分野に分かれて色々な提言をいただきました。

その中で、特に登別の自然環境をしっかり守っていこうという強い思いを抱いて、その後の「総合計画」に盛り込んだ中の事業の一つとして、鉱山町周辺の自然環境を大切にするために、ネイチャーセンターをつくることに取り組んだ思いが残っております。

 登別市の「総合計画」は、もう右肩上がりの経済成長の時代が過ぎ、安定期に入っていることから、単に生産を拡大する、あるいは、所得を増大する、また、人口規模を大きくするといった、従来のありがちな「総合計画」ではなくて、本当に住んでいる人たちが安心して、安全にしかも心が通い合うすばらしいまちとして描こうと、それも5年や10年で実現できるものではない、もう少し長期の視点に立ってつくろうとしました。

ただし、あまり先であると計画検討に参加した人たちは、自分たちの時代には、とても実現できない、また可能性すら見出せないようでは張り合いがないということで漠然としておりましたが、30年ないし50年先をみつめようということで、理想のまちの姿を描いていただきました。

 その時から理想のまちの姿というのは、社会環境が変り、人々の価値観が変り、ものの考え方が変ってくると、その姿自体も変化するものであり、つまり「逃げ水」のようなもので、夏の天気のいいときに一生懸命に走っていくと、向こうの先が陽炎の影に隠れるようにボヤーッと見えるといったような形になるのかもしれないけれども、しかし、それに向かってしつかり歩み進めようと、10年ごとの「基本計画」をたてることといたしまました。

 この「基本計画」は、いわば施策の方向を示すものであり、「総合計画」は、もちろん行政だけで築くものではなく、市民の皆さんと力を合わせて、まちづくりを行うものでありますから、市民の皆さん自身の手によって築いていただくもの、あるいは、市民団体・企業の力で整えていただくものと色々あるわけでありますが、民間の計画もすべて盛るということは、なかなか難しいものでありますことから、行政の施策の方向を基本に「基本計画」としてまとめることといたしました。

そして、具体的には毎年度の事業計画は「実施計画」として、おおよそ3年間の「実施計画」をたて、それを毎年度ローリングし、改めて、常に3年間の「実施計画」をもっているという形にしようということで取り組んできたものであります。

 平成8年から計画が始まりまして、第1期「基本計画」は平成17年度までであり、平成18年度からの第2期「基本計画」の策定に向けて、また、皆さんのお知恵をお借りしたいということで、この委員会を立ち上げたものでございます。

しかし、ご案内のようにその後、計画を立てた時からもそうでありましたが、バブルがはじけて長期の経済低迷期に入ってしまい、最近は、一部不安な動きが残っているものの、全体としては回復期に向かっているという観測が出されておりますが、北海道では、一部には回復のきざしは見られるけれども、全体としてはまだまだ厳しい環境にあり、特に雇用の状況も依然として厳しいといった観測が出されております。

 その中でいま国・地方も含めて大変な財政危機にあり、大きな借金を背負っており、これを解消して、せめて単年度の収支をつぐなえるような財政再建を図りたいという国の方針に従って、いま、改革が行われております。

 それと同時に、国と地方自治体の役割を見直して、しっかりとした役割分担を行い、国は国が本来担うべきものをしっかりとこなしていく、そして地方は最も住民に身近な立場で、身近な行政サービスをしっかりこなしていくという考え方のもとに地方分権を進めることとしております。

 平成12年に地方分権推進一括法が施行されましたが、なかなか建て前と実際とは違いがあり、国の事務・事業を地方で行えるように中央においてデスクの上で画一的な基準を定めて、それを地方に押し付けるといったやり方を改めようという私どもの考え方を地方六団体は主張してきたのですが、なかなか国は権限と予算を離さないとうことですから、まだまだ、地方分権は本当に入口の段階でございます。

加えて、地方分権を裏付けるものとして、事務・事業を地方に譲るとともに、それをこなすのに必要な財源、つまり税財源を地方に譲りわたすということで「三位一体」の改革ということを、国が提唱して2003年の「骨太」の方針にうたい、2004年の「骨太」の方針では、とりあえず第1段階である3年間の枠を決めたわけですが、本来、国と地方の役割分担を決めるのには、個々の事務・事業について、しっかりとどう振り分けるべきかという論議がなされた上で、それにともなう必要な財源をどうするべきかという話が進まないものですから、逆に国がもっている補助・負担金をいくら削って、それに相当する地方に委ねるべきものの財源として、税財源移譲をいくらやるかという数字目標だけが示されてきました。

 第1段階の3年間には、おおむね4兆円の国庫補助負担金を削減して、3兆

円程度を地方に税源移譲をしようということが示されたのですが、何を削るかということは国自体が示すことができなくて、地方六団体で提案せよといったことになりまして、たぶん、地方六団体はそれぞれ勝手なことをいっているから、たぶん、纏まらないだろうという国の思い込みがあったのかも知れませんが、それを見越して、私ども地方六団体は色々意見の違いはありましたけれども、それをなんとか乗り越えて一つにまとめて国に提案したのでございます。

しかし、昨年11月26日に、政府と与党が合意して示したものは、私どもが提案した国が地方自治体に対する必要以上の規制や関与をはずして地方の自主性を高めると住民自治のあり方をしっかり築き上げて、地方の総意によるまちづくりを進めることで、国全体の元気を取り戻そうという構想と若干かけ離れた単なる数字合わせで終わってしまったという感じがするわけでございまして、第1期もまだ18年度が残っておりまして、それから国と地方六団体が対等の立場で協議をする場所が設けられたということが唯一収穫としてこれからも、しっかり地方の意見が反映するようにがんばっていこうということで、一応17年度の予算編成の前に、国の案を私どもが飲み込んだといったしだいでございます。

 そういう状況にありますので、本来、「三位一体」の改革というのは、先ほど申しましたように、国がもっている補助金や負担金に係る事務を地方に権限移譲するということから、その財源を削って地方に税として、あるいは、税に準ずるような形で譲与しようというのが主体なのですが、当然、それによって多少、今までの地方交付税というものを見直しする必要が出てくるわけでございますが、国は、最初から地方交付税を削減しようとかかっており、「三位一体」といういい方をしておりますけれども、私どもは地方交付税の削減を入れると、地方分権の推進に必ずしも裏付けるものではないといった考え方をもっております実態にございます。

 くどくどと申し上げましたが、地方自治体の財政環境も極めて厳しい予算が続いておりまして、平成16年度は、特に、国が大幅に地方交付税と、これに係る財源対策債という借金の枠ですけれども、これを大幅に削ってしまいましたので、私どもは、自治体はどこも予算を編成するにあたり今まで苦労して貯めた貯金をおろして、それに当てることになりました。

 17年度は、そのことを強く国に訴えて必要以上に削ることを踏みとどめてもらったわけではありますけれども、16年度並の地方の予算枠といったことで、確かに、一部には景気の回復による税収が伸びたところは一部にはありますが、それはほんの一部であり、おおかたの地方自治体は、取り崩した貯金を戻せないまま、17年度予算を編成せざるをえなかった。

従って、中には、始めから収支がつぐなえない赤字の予算を組まなければならないという自治体もかなり出ております。

そのような状況でございますので、当市も赤字予算にはしないで、とりあえず17年度はかなり規模を縮小して予算編成を終え、18年度はなんとか組めそうだという、ぎりぎりの余裕を残した予算編成をしましたけれども、当分は今までのようなテンポでまちの基盤整備、特に下水道、道路整備といったようなものを進めるといったような状況にはございません。

従って、これから10年間の「基本計画」というのは、そういう意味では、派手な社会資本整備、特に「箱物」を整備するということが大きな目玉に取り上げられがちでありましたが、あまりそういう面にはいかないということで張り合いのない計画という取り組みになると思われがちですが、負け惜しみでいうわけではありませんが、このような困難な時代でありますからこそ、いかに行政と市民が力を合わせて、このまちをしっかり土台を揺るがさないようにして、目標に向かって行くような計画にするかということが、非常に意義が深いと思うわけでございます。

 今日 自主的にご参加くださいました委員さんも大勢いらっしゃいます。

 これからのまちづくりは、本当に行政と市民が役割分担をし、力を合わせて協働で取り組んでいかなければいけないという住民自治をもっと強化するという必要があり、そういう意味では大変、皆様方のお仕事をお持ちのかたわらご検討いただくわけですので恐縮でございますが、登別市にとって本当に後世代の人が、先人は一生懸命がんばってくれたなという思いで受け継いでもらえるようなまちづくりを進めるためにご協力くださいますよう心からお願い申し上げます。

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