2.佐藤さんの介護日記

公開日 2013年02月25日

佐藤平成さん、75歳。妻祐実さん73歳。

10年前市内の企業を退職し、妻の祐実さんと二人暮らし。年金制度の改善と手厚い高齢者福祉制度により、経済的にもゆとりのある老後を送っています。

平成さんは、退職後、現役時代の知識を生かしてシルバー人材センターで活躍していましたが、現在は、奥さんの介護に専念。 スポーツボランティアや旅行を生きがいに充実した暮らしを送っています。

2年前、佐藤さんの奥さんは、朝食のあと片付けをしていて突然、台所で倒れま した。佐藤さんが愛犬をつれて散歩中の出来事でしたが、幸いなことに、奥さんは、 倒れる寸前、いつも胸に掛けているペンダント型の緊急通報システムのボタンを押すことができました。

この緊急通報システムのボタンは、70歳以上の市民のすべてにいきわたっています。
通報は消防署に直接つながっているので、すぐに救急車が出動しました。救急車 が到着するまで2分余り。救急車に同乗している医師が応急処置をし、病院へ搬送しました。

佐藤さんの奥さんは、緊急の手術で一命を取りとめることができました。2ヶ月ほどの入院のあと、リハビリをかねて日常生活に復帰するため老人保健施 設に1ヶ月入所しました。 回復後少しの言語障害と右半身に麻痺が残りましたが、今は、自宅で平成さんの介護を受けながら平穏な日々を過ごしています。

(日曜日)

朝9時、ホームヘルパーさんが、二人来てくれた。今日は、自宅の 風呂の入浴の手伝いと妻の寝間着やシーツそれに昨日のリハビリで汗 をかいたトレーニングウエアーなどの洗濯をしてくれた。

午後からは、妻の誕生会。隣の若夫婦芳雄くんと恵子さんが、“おめでとう”と花をもってきてくれ、ついでに出かける支度を手伝ってくれた。妻も嬉しそうに恵子さんに手伝ってもらってうす化粧をしてすこしめかし込んでいる。

会場のデイサービスセンター(在宅の体の弱いお年寄りや障害者等に対し、通所によって、入浴・食事・日常生活動作の訓練などのサービスを提供するセンター)までは、歩いて10分。天気が良いので妻は、市から無料で借りている電動車椅子を運転して行くと言う。私も散歩がてらついていくことにする。

妻をセンターに送ったあと、ショッピングセンターで買物。夕食の支度をする。メニューは、ロールキャベツ。先週市の管理栄養士が調理法を教えてくれた。市内の農家が無農薬でつくった素材を使うことにした。

(月曜日)

午前中、妻は、市の保健センターで、健康診査と機能訓練。ボランティアが送迎してくれる。妻が出かけている間、市民農園で少し畑仕事をする。今年は天気がいいせいかトマトやナスなどの“なりもの”がいいようだ。いいものが取れたら新婚ホヤホヤの孫に送ってやろう。

夕方、ホームヘルパーさんが、掃除、夕食の用意をしてくれた。

(火曜日)

妻は、今日“しんた22”でデイサービスを受ける日。センターの送迎があるので安心だ。妻は、この日を本当に楽しみにしている。

センターのゆったりとした風呂で入浴サービスを受けられるし、食事サービスも妻の身体に合わせたメニューが出される。それに何よりも友達とわいわいおしゃべりができる。

夜、友達がやっている市民落語長屋の公演が小学校の地域開放プラザ(広場)であるので出かけていく。夕食は、地域ケアプラザ(在宅福祉サー ビスの総合センター)から届いた。私が帰るまでの間ボランティアの人が妻の相手をしてくれた。

(水曜日)

午前中買物ボランティアの人が買い物をしてくれる日。天気がよいので妻も一緒に行くと言って出かけた。妻がいない間妻の寝室の掃除とシーツの交換をしておく。地域のコミュニティFM放送からは、市民管弦楽団の定期演奏会の模様が流されている。隣の恵子さんもチェロで参加している。隣の芳雄くんと恵子さんは、5年前引っ越してきた若夫婦だ。

それまでは、Mさん夫婦が長年住んでいたが、Mさんたちは子供がいないことから、資産を活用して、老後を近くのケアハウス(食事、入浴などのサービスを提供し、介護が必要な場合は外部からのサービスを導入する新しいタイプの軽費老人ホーム)で送ることにした。

今は、若年世代への住居移転システムが住宅管理公社によって確立しているので年寄りにとっても若い人にとっても安心である。午後からは、訪問看護ステーションから看護婦さんが来て、妻と私の健康状態、服薬のチェックをしてくれた。

夕食は、中華料理をと思い用意したが、妻がリハビリを兼ねて手伝ってくれたのはうれしい。

(木曜日)

午前中、市の地域ケアプラザから高齢者サービス調整チームの主任が来てくれた。3ヶ月に1度、保健と福祉と医療が連携したケアメニューを作ってくれる。私たちの希望に沿ったサービスを組み立ててくれるのが何より助かる。午後、ショートステイセンターから係の人が来てくれた。妻は、来週から1週間ショートステイなのでその説明をしてくれた。

私は、来週から以前隣に住んでいたMさんたちと中国旅行に出かけることにしている。中国では、10年前1年間ほどうちにホームステイしながら市内の大学で勉強していた王(ワン)くんに会うのが楽しみだ。

夕方、地域ケアプラザで作られた夕食が、ボランティアの人によって届けられた。

(金曜日)

デイサービスセンターの送迎で妻は、デイサービス(入浴、日常動 作訓練、食事)へ。私は、市の保健センターで定期検診。健康カードを持参して行く。

今は、生まれるとすぐIC(集積回路)を活用した健康カードが市民一人ひとりに渡される。このカードは生涯使用することになる。そのつど健康、医療データが蓄積され、言ってみれば健康の履歴書である。いつ、どこで、どんな医療を受けたのか、今までにどんな既往症 があるのか一目瞭然だ。

今日の夕食は、私が簡単な肉じゃがと特製野菜サラダ、薄めの味噌汁とご飯。

(土曜日)

午前中、ホームヘルパーさんがきて掃除、洗濯それに来週の妻のショートステイのために買い物をしてくれた。私は、市内の少年サッカーチームのマネージャーとして市営サッカー場へ。

今は、子供たちとグランドを駆け回ることができなくなったが、 昔はコーチとして活躍したものだ。コーチを引退してからは、ボランティアでチームの雑用を一手に引受けている。夕方、地域ケアプラザの夕食をボランティアの人が届けてくれた夕食の後、来週からの旅行の打合せに鈴木さんのケアハウスを訪問。

9時にホームヘルパーさんが来て、妻の就寝の介護をしてくれた。

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